言えない言葉
ニッコリと笑ったお姉ちゃんが白い光に包まれて消えていった、そうだ戻らないと、お姉ちゃんの元に...目を開くと心配そうな顔をしているお姉ちゃんがいた。
「あぁ、よかったチカ吸血鬼化しなかったのね...よかった、よかった」
ミシアは安心して座っていた椅子に深く座り直した。
「あれ?...チカ怪我したような...あれ?あとなんか背中が寒い...お姉ちゃんなんでこんなことになってるの?」
チカが首をかしげて言うとミシアはそれを隠そうとして反応した。
「あ、ごめんね新しい服持ってくるわね」
ミシアは用意していた服をゆっくり持ってきた、何処か不満気な顔をしているチカに申し訳なさを感じた。
「お姉ちゃん?なんでチカに嘘つくの?」
チカに嘘を効かないのは予想がついていた、正直もののチカの目に私はどう映っているのだろう、そんな事を考えていると自然と口が動いていた。
「ごめんねチカ、お姉ちゃんチカに悪い事をしちゃったの...チカはねお姉ちゃんとほんの少し一緒になっちゃったんだ」
声が震える、嫌われたくないという考えでミシアの頭の中はいっぱいになっていた。
「え...お姉ちゃんと一緒になった?」
チカはそれがわかってないようでミシアの口から教えてくれるのを待っている、不安で体が震える、チカは許してくれないんじゃないか、チカは壊れてしまうんじゃないか、そんな考えしかミシアにはなかった。
「......チカはね、お姉ちゃんと同じ吸血鬼になっちゃったの、ごめんね、ごめんね」
声も体も震えるミシアは声を振り絞りやっとのおもいで言葉を出した。
チカはあまり実感がわかないのか自分の歯を見たり体をさわったりしていた。
「それだけ?」
チカは軽く答えた、ミシアはチカをベッドに押し倒して声にならない苦痛を感情にだした、びっくりしているチカに気付くと慌てて座っていた椅子に戻る。
「ほんの少しだけで血を飲みたいとも思わない程度だけどね、それでも吸血鬼になっちゃったの...吸血鬼にしちゃったお姉ちゃんを許してねチカ...」
少しの沈黙の後にチカは明るい声でお姉ちゃんと一緒ならそれが良いと言った、そんな簡単な物じゃない事は頭の良いチカならわかるはずだ、慰めてくれているのだろう、それがわかっていてもなお嬉しかった。
「チカ...ありがとう、やすんでていいわよ、困った事があったらいつでも聞いてね」
ミシアは疲れていたようで座ったままぐっすりと寝た、チカがそっと毛布をかけてチカは子供部屋に遊びに戻った。
チカが入ってきても気にせず遊んでいる様子を見ると、あまり子供達は襲われそうになったのを気にしていないようだ、それが家族だから怖くない、なのか怖いから気にしていないふりなのか、おそらく前者だろう。
本人は覚えていないようだが...。
夜中に目が覚めたミシアは肩に毛布がかかっていることに気づく、少し微笑んで子供達がいるであろう部屋に向かった、いつもなら床で遊び疲れて寝ているだろう、ほうら、やっぱり。
部屋に入ると予想通り子供達が遊び疲れて床で気持ちよさそうに眠っていた一人一人起こさないように抱きかかえてベッドに連れていく、このとき寝顔を見るのが日課だ。
シフルやルミは背が伸びてきている、ルミは痩せたなど色々わかることもあるが成長としてミシアだけの思い出として頭に残している、チカを除いて。
チカが吸血鬼化を免れたといっても身体には少しの変化がでる、チカはそれがわかり易かった昨日よりも断然軽くなっている、気持ち良さそうに寝ている姿に罪悪感を覚えてしまう。
この子は私の世界にいなくてはいけない存在だ、この子達は幸せになってもらいたい、昔の私のようになればチカは必ず壊れてしまうから...世界を、吸血鬼がいてもいい世界を創る。
子供達を全員ベッドに寝かした後お休み、と一言呟き部屋を出た。




