純粋な心
チカができない、守れないと言いかけたその時、ミカが予知していたかのように遮った。
「むぅ...」
先ほどのずる賢い表情が残念そうになった。
「お姉ちゃんはどうするの?」
ルミがミシアに問う、笑顔が一瞬固まった。
「シルクを...倒してくるわ。だからまたお留守番いい?」
ミシアの言葉にチカ達は固まった。
全員の表情がゆっくりと寂しくなっていく。
「大丈夫絶対戻って...」
「行かないで」
そこにいた全員が10年前を思い出す、家族がいなくなった悲しみを。
「でも...」
「みんなはわからないけど...チカは狙われてもいい、だから...行かないで...。」
「僕もチカと同じ意見だよ、十年前のように悲しむのは嫌だしね。」
ミカがそう言うとみんなが目を合わせ、うなずく。
「ミカ...みんなまで...でもダメよ。
お姉ちゃんは行かなきゃいけないの、貴方達が傷つく所を見るなんてお姉ちゃん耐えられないから。
大丈夫、絶対帰ってくるから、そうしたらみんなでごはん食べましょう。」
「嘘ついちゃダメだよ〜?」
ルミがミシアの目をじっと見つめて、声を出しながら近寄る。
「ええ、必ず」
その言葉でついさっきまでのみんなの暗い表情が少しだけ明るくなったような気がした。
「じゃあ、行ってくるから。」
ミシアはそう言うと館をあとにした。
そんなミシアの後ろ姿を見たミカは、何かしらの決意を固めた。
「すまないけど僕も行くところがあるんだ、じゃあ。」
「あ、待ちなさいミカ!」
レリアの言葉には目もくれずそそくさと何処かに消えて行った。
「よし」
ミシアは後ろに誰もついてきていないことを確認するとシルクの居そうな心当たりのある場所に向かった。
何も無い普通の神官訓練地帯、一見にしてはそうにしか見えない。
だが、ただならぬ気配を感じ取れる。
この異常な気配にミシアは悟った、やつは、シルクはここにいる。
「でてこいシルク、よくも私の天使達に手を上げてくれたな」
目の前にはいないが声を上げる、少なくともいつも私を監視しているようなやつだ、ついさっきの事もどこかで見ていたのかもしれない。
そんな事を考えているとすぐ目の前にシルクが現れた。
「なんですか?」
満面の笑みで白々しく嘘をつく、その顔はオモチャで遊んでいるような顔だ。
「子供達には手を出さないと言ったはずだ、貴様何を企んでいる。」
「さて、何のことやら」
にやにやとしながら返答する。
元々怒りを貯めていたのもあり頭の中の理性を繋ぐ線が限界に来てしまった。
「おっと、危ないじゃないですか、急に殴りかかってくるなんて。」
怒りのあまり攻撃を仕掛けるが軽く避けられてしまう。
「応えろ、何故シフルに手を出した...!」
あまりの勢いに諦めたのか喋り始めた。
「それは...彼が憎しみに満ちていたから...じゃないですかね
あなたを愛するが故の家族への憎しみ。」




