絶対絶命
元々怒りを貯めていたのもあり頭の中の理性を繋ぐ線が限界に来てしまった。
「おっと、危ないじゃないですか、急に殴りかかってくるなんて。」
怒りのあまり攻撃を仕掛けるが軽く避けられてしまう。
「応えろ、何故シフルに手を出した...!」
あまりの勢いに諦めたのか喋り始めた。
「それは...彼が憎しみに満ちていたから...じゃないですかね
あなたを愛するが故の家族への憎しみ。」
「憎しみ?」
「ええ、あなたの胸を刺したチカという少女に...
それを利用したんじゃないですか?」
「やっぱり利用したんじゃない」
攻撃の体制に入り、シルクを一気に落とす。
不意打ちをしないとこんなやつにはとてもじゃないが勝てない、子供達の世界を作るためにもこいつは排除させておかなければならない。
一瞬の出来事にシルクの虚をつき体に手刀が入る。
ぐらぐらと体を揺らしよろけている、今しかない。
もう一度手刀を首に向けはね飛ばそうとした瞬間よろけていた体がまるで嘘のように手刀を避けた。
スキだらけになったミシアの体に重い一発が入る。
「かはっ...ゲホッゲホ」
息ができない、足もふらふらだ、一発でこれだ、勝てる気がしない...。
追い打ちをかけるように二発目、三発目と一撃が重ねられていく。
あまりの痛さに呻き声もでない、だが容赦なくまた一発、ミシアの細い華奢な体にめり込む。
吸血鬼と言えど神と名乗る人物の攻撃を完全に受けきるのは不可能だ。
後方へ飛ばされ石の壁に激突する。
その衝撃で石の壁に頭をぶつけたミシアは視界がぼんやりとし立ち上がろうとするが上手くバランスが取れず立ち上がることすらできない。
「おや?吸血鬼の女王が私に手も足も出ないとなると...この世界は私の手の中も同然ですね」
ゆっくりと近づき語りかけるように話している。
「お前なんかに...負けてたまるか」
立ち上がることすら出来ていないが強気を見せる、つい先程の言葉がミシアの中にある何かを燻らせたのだろう。
「ほう、面白いまだ立ち上がってすらいないのに私に攻撃を仕掛けさせるとは...お望み通り貴女の身体も心もズタズタにしてあげましょう!」
そう言い放つとミシアの着ている服の首の部分を掴み上に放り投げる、放り投げたその下では、大きな魔法陣が展開されていてシルクはその真ん中で拳に力を一点集中させている。
ああ、終わった、ガードもバリアも貼る力すら残っていない、万が一出来たとしても瀕死になって死ぬのが少し遅れるだけ...。




