家族への詫び
首を締められ肺の酸素がなくなり始める、死に物狂いで息を吸う、苦しい中で大きく息を吸ってしまった。
目の前が歪む、だが鮮明に美しく、目の前のシフルが真っ赤になっていく、完全に真っ赤になる前に懐かしい声が聞こえた、そこで意識が途切れた。
「少し休みなさいチカ、よく頑張ったわ」
「...お姉ちゃんなのか?」
「あら、シフル?大きくなったわね...でも何故こんなことしたのかしら?」
「え?あ、えっと...」
「お姉ちゃんが殺されたと思ったから?」
「そ、そうかもしれない...」
何か、話が噛み合っていない。
何かに操られるようにチカの首を締めていた、シルクの件もあったので死んだという事実を造り、子供達には被害が少ない方がいいと思っていたが根本から間違っていたようだ。
もう、子供達は被害をうけていた。
今シフルがおかしくなっているのは粗方シルクが何かしたのだろう。
怒りがふつふつと湧き上がってくる。
ミシアの顔はこれ以上とないほどの怒りで覆われていた。
「...仕方ないわね、ふふっ、そんなに殺して欲しいなら殺してあげるわ。」
「えっ...」
シフルの表情が険しくなる、だが表情を変える間もなくミシアがシフルの背中を少し強めに叩く。
「何に捕らわれたか知らないけど...シフル、あなたはそんなに弱いのかしら?」
背中を叩かれたシフルは気を失うように地面に膝がつく、シフルの体が痙攣しながら前に倒れかかる。
「ふぅ...ごめんねちょっぴり乱暴だったかしら...」
叩いた背中を撫でて謝る、この二人は座らせていれば大丈夫だろう。
二人を止めて少し疲れたのか一息つく、懐かしみながら部屋を見渡す。
少し埃を見つけるがその程度だ、しっかり掃除してくれていたのだろう。
一息ついてから部屋を出る、どこに誰がいるのかもわかっていないミシアは部屋を一つずつ探す、子供達が巻き込まれてしまった以上、自分だけで追い払う、という考えは逆に子供達が危険に晒されるだけだからだ。
淡々と部屋に入っては出てまた入っては出て、それを繰り返す、食堂に行くとレリアが立ってご飯を作っていた、十年ぶりの再会、それはミシアもチカも同じだが、やはり一人一人の成長は嬉しい事だ。
レリアの背中を見つめて思い出に浸っていると、こちらに気付いたのかレリアが振り向いた。
「え...お、お姉様?」
驚きのあまりレリアは持っていたスプーンやフォークを床に落としてしまう。
十年も家族の目の前からいなくなっていたのにすぐに分かったようだ。
「お姉様!」
飛びついてくる、仕方ない今日は許そう。
家族全員に迷惑をかけたのだから何かしらして当然だと思い飛びついてきたレリアを抱き寄せる。
「大きくなったわね、それに綺麗よ」
「お姉様ぁ、お姉様ぁ」
「もう、レリアはその癖治ってないのね。
しっかり治さないとダメよ?」
「だって...だってぇ...」
レリアの癖は治っていないようだ...チカの癖は治ったのだろうか...。
レリアの涙目になっている表情がたまらなく可愛い。




