再会の形
自分もお姉ちゃんと同じ吸血鬼になったが一切あの時から血を飲んでいない、飲まない、そうお姉ちゃんと約束した。
血を貯めて置いておく部屋が頭によぎる、そう言えば昨日は掃除していなかった。
あの部屋は血の匂いがする、吸血鬼になり血に敏感になったのであろう鼻がその匂いを察知する。
血が飲みたい、だが自我が残りその程度で止まる、毎日掃除しておかしくなった時もあった、それからはあまり入らないようにした、その部屋が頭をよぎる。
「ちょっと行ってみようかな」
扉の前で一瞬立ち止まる、この部屋に入るのは少し度胸がいる。
掃除していた時はあまり考え無かったが、血の匂いでおかしくなりそうになってからは考えるようになった。
この部屋は自分が自分じゃなくなった部屋、また、おかしくなるかもしれない、少なからずかなりの量の空気を吸えば。
少し手に力を入れて扉を開ける。
懐かしい思い出と約束を壊そうとする血の匂い。
だが少なからず匂いは消えていた、窓が空いていたからのようだ。
部屋の戸締りはしっかりとしていたつもりだった、そんな事を考えていると、窓から綺麗な白い羽根の生えた何者かが入ってきた。
「し、シフル...」
入ってきたのは家族のシフルだった。
「ん?あぁ...チカ?」
「そ、そうだよ!おかえ...」
久しぶりの再会、持ち前の明るさで〝おかえり〟を言おうとした時だった。
シフルの手がチカの首に伸びて行き、首を絞めチカを持ち上げる。
「うぁ、げほっ、し、シフルどうして...」
「君がわからないのか?お姉ちゃんを殺した君が!」
言って欲しくなかった、自分がやったのはわかってる。
乗っ取られていたのに感触も鮮明に思い出せる。
でも、だからこそ自分で思い出せるから、言われると更にその記憶の重みが増す。
首を締められ肺の酸素がなくなり始める、死に物狂いで息を吸う、苦しい中で大きく息を吸ってしまった。
目の前が歪む、だが鮮明に美しく、目の前のシフルが真っ赤になっていく、完全に真っ赤になる前に懐かしい声が聞こえた、そこで意識が途切れた。
「少し休みなさいチカ、よく頑張ったわ」
「...お姉ちゃんなのか?」
「あら、シフル?大きくなったわね...でも何故こんなことしたのかしら?」
「え?あ、えっと...」
「お姉ちゃんが殺されたと思ったから?」
「そ、そうかもしれない...」
何か、話が噛み合っていない。
何かに操られるようにチカの首を締めていた、シルクの件もあったので死んだという事実を造り、子供達には被害が少ない方がいいと思っていたが根本から間違っていたようだ。
もう、子供達は被害をうけていた。
今シフルがおかしくなっているのは粗方シルクが何かしたのだろう。
怒りがふつふつと湧き上がってくる。




