ヒトリキリ?
その場にいる4人はシフルは帰ってこない事を悟った、それはチカの吸血鬼化した時の恐ろしさを知っているから、お姉ちゃんすらも危ないから、と言っていたから。
お姉ちゃんがこの場にいる時点で死んだ可能性は高いのに、シフルだけはお姉ちゃんは死んでいないと信じて家を出ていった。
レリアはそんなシフルを見て、自分も諦めてはいけないと思い、姉ミシアを探す事にした...もちろんシフルと同じように家を離れて...。
チカの表情はどんどん悪くなっていく、家族がいなくなり心に不安がよぎった。
自分から家族がどんどん消えて行き、最後には全員消えてしまうんじゃないか。
お姉ちゃんの事や家族の事を忘れてしまうんじゃないかと。
「行かないで...」
苦し紛れに出た言葉は聞こえないくらい小さく小さい音にかき消される程だった。
人生良い事もあるが悪い事もある、そんな言葉を本で見たことがある。
みんな出ていってしまった。
理由は色々だった、ミカは神官になると言って出て行った。
ルミはレリアの後をちょこちょことついて行った。
みんなみんないなくなった。
良い事なんて悪い事が起こればそこに上書きされる。
そのまた逆、悪い事も良い事が起これば上書きされる。
でも、チカにとっての良い事はもう起きないだろう。
チカの幸せはお姉ちゃんと過ごす時間と今の家族と遊ぶ、それだけになっていたから。
お姉ちゃんは一人ぼっちのチカを暗闇の中から救ってくれた。
救ってくれた時は暖かい光に包まれたように気持ちよかった、ずっと、ずっとずっとその光に包まれていたかった。
光が完全に遮断され、再び暗闇に戻ってしまった。また...一人ぼっち...。
「いやだ...いやだ...もう、一人ぼっちはいやだ!」
暗く1人しかいない館にはチカの声は響いた。
「あ...そうだ...お姉ちゃんは死んで...ない。」
吸血鬼になったチカの目が暗闇に映えるように不気味に光った。
一人ぼっちを際立たせるように冷たく寂しく。
一人きりになったチカを、見ていられなくなったミシアは一言だけ言葉を残した。
「大丈夫、チカは一人ぼっちじゃないよ。
お姉ちゃんがずっとついてるからね、見守って上げるからね。」
その言葉はチカの歩む道を真っ直ぐに戻らせた。




