壊れていくチカ
さっきまで倒れていたはずのレリアがこちらに向き何か呪文のようなものを唱えている。
「レリア?なんでチカに向かって...」
そう言って近づくとレリアは叫ぶ
「近づくな化け物!チカを返せ!」
その言葉はあまりにも心に響いた、〝化け物〟その言葉はチカの昔の記憶を蘇らせ心を抉る。
「チカは...化け物なんかじゃない!」
叫んだと同時にレリアが唱えた魔法がチカを襲う
この魔法にあたれば死ぬかもしれない、死ぬのは嫌だ、死んだらお姉ちゃんとの約束が守れない、避けなければ、しかし魔法はチカを直撃した。
身体が溶ける、熱い、冷たい、色んな感情が頭をよぎる。
チカは、死、という恐怖に必死に抗った。
魔法を撃ったレリアは驚愕した、かなり強い魔法を撃ったはずなのに死んでいないましてや目立った傷すらない、レリアは腰が抜けて化け物と口にした。
チカは死んでいないことに喜びを感じホッとした、次の瞬間、また化け物と聞こえた、限界まで追い込まれた精神はその一言にも耐えられなかった。
「違う...違う違う!チカは化け物なんかじゃない!」
そう言ってレリアに近寄ろうとするとレリアは腰が抜けて力の入らない体を精一杯逃げるように後ろに下がる
「ち、近づくな化け物!」
後退したレリアが放った言葉はさらにチカの心を抉った
「化け物なんかじゃ...ないのに...なんで?!」
憎悪が力となり周りのものを吹き飛ばす。
飛ばされたレリアは意識がないミシアをかばいダメージを受ける
「あ...」
力が出るとは思っていなかったチカは家族をまた傷つけそうになり自分を攻める、本当に自分は化け物になってしまったのかもしれない。
それを悟った瞬間チカの身体は自身の心に乗っ取られた。
「お姉ちゃんに触るな...」
自我を失ったチカはミシアを掴んでいるレリアの手を引き離した。
「あなたお姉様に何をする!」
チカが化け物に見えるレリアはミシアを奪われ焦りを隠せない様子。
「黙れ」
レリアの体が浮いて首を締めあげる
「くっ...やめろ...ゲホッゲホッ」
苦しそうに悶えているレリアを見て笑うチカの目から涙が零れる、家族が死ぬ、家族を殺す、頭に過ぎる昔の記憶がチカを襲う。
一瞬我に戻るがそれはもはや手遅れだった。
またミシアの首元に牙を立て血を吸う、血を吸う感覚が頭に焼き付く。
「チカは化け物じゃ...ナイ...コロス邪魔者はコロス...アハ、お姉ちゃんノ血オイシイ」
意識が遠のいていくレリアはただただミシアの血を吸うチカを見ているだけだった。




