カオスピモード!
「竜王よ、僕の力を見せようじゃないか」
シリウスはそう言い放つと何か呪文らしきものを唱えながらこちらへ走り寄ってきた。
「何をするつもりだ?」
『聖なる力よ!我に答えよ!』
一通り詠唱が終わったかと思うと、何故か剣を放り投げて、高く飛び上がった。
『貫け!神の雷!』
その時、何故だかわからないがバルバロスの言葉が頭の中を駆け巡った。
「アキヒサぁ…。お前ちょくちょく閃光を操るとか漆黒を裂くとか言ってるけどそんな魔法使ってるとこあんま見たことないぞ」
そんなことを考えている間に、俺の体には凄まじい電流が走っていた。
「何故避けない⁉︎」
シリウスは落下しながら、剣を叩きつけるように振りかざす。
「見せてやるよ。閃光を操り、漆黒を裂くカオスピエロの力を」
とまぁ、ここまで言ったところで俺の意識は飛んでた。
ーーーーーーーー
「あいたた.....俺、負けたか.....?」
だが、再び目覚めた時には、俺は何故かピエロの格好をしてて、例の勇者パーティーが地面にボロボロの状態で転がっていた。
「なんだこれ....?」
俺が駆け寄ろうとすると、彼らは声にならない悲鳴をあげた。
「ひっ、殺さないでください!許してくださいっ!」
「は?」
「許してください漆黒のカオスピエロ様!」
「何これは......」
ふとタブレットを見ると、【警告】という文字と【カオスピモード】という謎の表記が映し出されていた。
「えーと、なになに?カオスピエロとしての隠された能力が......隠しスキル?あなたの人格を乗っ取って一人歩きを......?」
あー、なるほど。俺の隠された人格が......って、そんなの聞いた覚えなど無い!
「なんだか目の色を変えたかと思ったら、とんでもない爆裂魔法をぶっ放しまくって、避ける余裕すら......」
シリウスが怯えた口調で惨事を語る。
気が動転してまるで気づいていなかったが、玉座の間を見渡すともう崩れそうなくらいボロボロになっていた。
「どうしたお主!この音は!?」
駆けつけて来たのは、竜王だった。
そして、その後ろにハニーと知らない小さな女の子が付いて来ていた。
「わ、我輩の玉座がボロボロに......」
驚いたのは俺も同じだ。
一体何が起きたんだ......。
「アキヒサ、カオスピモードを使ったの?」
「あ、そのように存じますが......」
なんかハニーの視線が怖いので、言葉使いが不自然になってしまった。
「この人たちは?」
ハニーはシリウスたちを指して聞く。
「勇者、だってさ。魔王を殺しに来たとか......」
と、その時である、部屋の天井からパラパラと石のかけらが落ちて来たのは。
「パパ!崩れるよ!」
見知らぬ女の子の声だが、今竜王に向かってパパって呼んでなかったか......?
「アキヒサ!早くこの部屋を出て!」
「いや、でも、勇者御一行運び出さないと....」
「もう!早くして!」
「崩壊に巻き込まれたら死あるのみぞ!」
といいつつ、彼らの搬出を手伝ってくれる竜王とハニー。
「すみませんみなさん、知らない人なのに助けてくれて」
「「喋る余裕があるなら自分で走れ!」」
「すみません.....」
てな訳で、一応危機一髪抜け出したのである。




