アキヒサの本気!
「主人殿、俺の腕前は大したことないので、これ以上は無理かと......」
あっ、まずい。あの時かけた暗示が......。
「おいよせ!お前、最強の座に君臨してるとか言ってただろ!?こんなんで諦めんな!」
「麦畑が俺を呼んでいる......」
スゥ....とかいう音にもならない音を立てながら消えていく。
「ば、馬鹿野郎ぉー!」
肝心なところで消えやがった......。
「だ、誰か〜?ハニーでも、パン屋でも誰でもいいから〜!」
そそくさと立ち上がって、シリウス君と距離を取る。
来るな。いや、来ないで。
「終わりか竜王?手加減はしないぞ?」
この小僧.....!
「聞いていれば、俺が言いそうなセリフを次から次へと言いやがって.....。それにこんなハーレムを作ってるとか、なんて羨ましい....。両手に花どころか、三人も美少女に囲まれて、ラノベ主人公かよ!俺はキャラ被りが一番嫌いなんだ。こっちだって、タダで負けてやると思うなよ?」
タイミングを合わせて、タブレットに触れる。
「顕在しろ、長剣ヘクトール!」
同時に魔法レベルを上限まで解放する。
『一時的にレベル制限を解除します。この世界での処理システムの能力を超えないようにしてください』
処理システム?
「ソフィアは僕と、アイリーンとナーニアは支援を頼む!」
「わかったわ!」
「いつも通りいこう」
何のつもりなのかハイタッチまでかましていやがる。
なめてんのかこいつら....。
「このアホ、リア充どもがああああ!」
考えてみればこっちに来てから、一人での戦闘は初めてだな。
腕に力を入れて、剣を構える。
「行くぞみんな!」
勇者の掛け声と同時にパーティーは戦闘態勢へと移行していく。
前に飛び出して来たのは勇者と剣士。
シリウスの斬撃を横に振って受けながら、ソフィアとかいうやつの突きをそのままの勢いで受け流す。
「延焼魔法!」
魔法使いの援護攻撃。
縦に伸びる火炎が足元から俺を照りつける。
「【蒼空防御結界】」
クリスタリアの技を借りた。こいつらチームワークが半端じゃない.....。
魔法と斬撃、交互に、確実にダメージを加えてきやがる。
特に前の二人の相手をするのが大変だ。
だが......。
「隙が見えるぞ?」
ソフィアとかいうピンク髪の剣士には跳ねる時に隙がある。一瞬肩と剣との間に弱点ができる。
「きゃっ!」
「ソフィア!」
致命傷は避けたが、あれだけの傷なら倒れるのも無理もない。
「構ってる場合か?」
俺の剣はリーチが長いのが特長だ。まあ、チートで長さは変えれるんだけどね。
「伸びろ剣!」
「うッ.....」
「腕一本やられたくらいで降参か?」
「馬鹿なことを言うな!」
「シリウス!しっかり!【大回復魔法】!」
緑髪のフードを被った僧侶もどきみたいな女の子が魔法を唱える。
「ぅ....大丈夫だ、みんな。ただ今回は相手が悪いかもしれない。あれをやる。ちょっと下がっててくれ」
「あれってなんだ?」
「シリウス.....ついにあれを.....?」
「いや、あれって何だよ」
「時間を稼いでくれ」
「了解!」
あれって何!?




