↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三国志・劉曄伝ー曹操の影として生き切った漢ー  作者: 涼風隼人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
42/64

第42回 劉曄、潼関の戦い(二)

 数日間のにらみ合いの末、動き出したのは韓遂率いる連合軍である。陣頭に、かなりの巨体の者が光り輝く兜をかぶり、誰が見ても名馬とわかる馬にまたがり、一人ゆっくりと前に出てきた。そして、その漢が大声で叫ぶ。

 「私は、この軍の副将をつとめる馬超である!曹操よ!何が道を借りるだ!お主たちの布陣、完全にこちらとやりあう気の陣立てではないか!」

 

 この呼びかけに、何と曹操自らが応じる。賈詡も劉曄も止めようとしたが、曹操に制止をされた。

 「私は漢の丞相の曹操である!お前たちが道を開けない故、やむなく戦う道を選んだのだ。今から道を開けるのであれば、今までの非礼は全部水に流す。どうだ?」

 

 「お前は、本当に口から生まれた様な男だな!誰がかような言葉を信じようか!いざ、尋常に勝負せよ!こちらは一騎打ちでも構わぬぞ!」

 

 「はっはっはっ!漢の丞相である私が、お前如きの一騎打ちの挑戦など、受けるわけがなかろう!四の五の言わず、向かってきたらどうだ!相手になろう!」

 

 「なるほど・・・。わかった。では、こちらから参る!」

 

 馬超は全軍に前進の命令を出した。西涼は馬の産地であり、騎兵が充実しており、その破壊力は誰もが知るところである。

 

 地面が大きく揺れているような、そんな感覚にとらわれた。

 

 曹操軍も前進を始める。

 

 今回の先鋒は、夏侯淵であり、その下に徐晃と張郃がつく。

 

 この三名は、人材が豊富な曹操陣営の中でも、剛の者として知られる名将である。

 

 そして、曹操は初めての光景を目の当たりにする。

 

 何と、自慢の名将で固めた先鋒が、馬超軍のとてつもない破壊力に、一気に粉砕をされたのである。

 

 馬蹄の音はどんどん近付いてくる。

 

 そしてその先頭を、咆哮を発して疾駆してくる者がいる。

 馬超である。

 

 曹操は、恐怖を感じた。みるみるうちにその距離は縮まってきたのである。そして、あっという間に曹操の間合いに入ってきた。ここで、許褚の登場である。許褚が言う。

 「丞相!とにかく後方へ退避してください!馬超は、必ずや私が食い止めます!」

 

 曹操は頷き、これでもかというくらいに馬に鞭を入れ、直ちに後退を始めた。

 

 馬超と許褚は激しい打ち合いをしている。

 

 今のところ、完全に互角である。

 

 ものすごい、打ち合いの音が戦場に響き渡り、両軍の兵士たちはいつの間にか戦うのをやめ、この一騎打ちに見入ってしまった。

 

 馬超が打てば許褚が打ち返し、許褚が打てば馬超が返す。

 

 その一挙手一投足に、お互い全くの無駄は無く、留まることなく打ち合いは続く。気づけば、夕暮れに差し掛かってきた。どれだけの時間を打ち合ったのだろうか。馬超が言う。

 「許褚と言ったな。さすがに曹操の護衛を預かるだけある。凄まじい武力、この馬超、感服した。これ以上打ち合っても埒が明かん。勝負はまた、日を改めたく思うがどうだ?」


 「わかった。西方の者は屈強な者揃いと聞いていた。しかし、俺に適う者などいるわけがないと思っていた。俺の過信だったようだ。馬超、またいずれ戦おうぞ!」

 

 こうして、両軍はこの日の戦いを終え、陣に戻った。

 

 曹操は命からがらの後退であった。もう少し遅くなっていれば、馬超に討ち取られていたかも知れない。曹操が許褚と賈詡に言う。

 「許褚よ。見事な戦いぶりであった。私の命を守ってくれたこと、礼を言う。そして、賈詡よ。緒戦は陣頭で、というのは私の甘い判断であった。明日以降、本陣の奥深くで指揮を採ることに注力しよう。」

 

 許褚と賈詡は拝礼した。

 

「これが本当の戦か・・・。」

 劉曄は体の震えが止まらなかった。


 もちろん、その原因には馬超の凄まじい武力への恐怖感もあったが、両軍のすさまじいまでの攻防に、興奮を覚えた。


 恐怖と、興奮。この二つの感情が劉曄を支配した。


 そして劉曄は思った。

 「もし、この様な戦場を、自らの策謀で勝利に導けるとしたならば、人生においてこれ以上の愉悦は無いのではないか・・・。」


 少しふしだらに聞こえるかもしれないが、これが今日という一日を終えての劉曄の誰にも言えない、心の中に仕舞い込んだ感想であった。


 そして、この戦いにおいて、流浪の軍師と呼ばれた賈詡の智謀が勝敗を決するのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。