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三国志・劉曄伝ー曹操の影として生き切った漢ー  作者: 涼風隼人


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35/64

第35回 劉曄、譙での軍議に参加する

 曹操は、自分の警護として、親衛隊である虎豹騎五〇〇〇を伴い、譙へと向かった。

 

 その移動速度に合わせてついていくのは、普段それほど馬で遠出をしない劉曄にとっては、なかなか難儀なことであった。遅れまいと必死についていくうちに、譙に到着した。

 

 譙に到着すると、曹操はまず、先祖の墓参りをした。

 

 護衛には猛将である許褚のみが付き添うのみで、曹操は墓前に膝をつき、目を閉じて祈りを捧げ、何かしら報告をしているのだろう、しばらくはじっと動かなかった。

 

 墓参りを終えた曹操は、早速、軍議の招集をかけた。

 

 この軍議には、随行してきた曹洪や曹丕、荀攸、賈詡、程昱、陳羣などに加えて、合肥方面に展開をしている于禁や張遼も参加をした。

 

 曹操は一同の顔を見渡し、言った。

 「まずは、皆に詫びねばならん。特に、私に孫呉を攻める愚を直接指摘した賈詡や程昱には、献言を取り入れずに、本当に済まなかったと思う。許せ。」

 

 一同は、拝礼した。曹操が続ける。

 「我が軍の損失は非常に大きい、本当に痛恨の極みであった。しかし、この国を見渡せば、それでもなお、我が国の力が抜きんでているのは、間違いない。」

 

 更に続ける。

 「そこで、今回まず確認したいのは、南部の防衛体制についてだ。先日の孫権による合肥侵攻は、蒋済の知略で何とか乗り切れたが、孫権もそう簡単に合肥を諦めることはしないであろう。現在、合肥方面には、于禁と張遼が展開をしているが、取り急ぎの問題はあるか?」

 

 于禁が答える。

 「ここ最近、廬江郡を根城として、まだ確定的ではないものの、陳蘭と梅成というものが反乱を起こす兆しがあり、孫権がそれに同調をする恐れがあります。そうなりますと、再び合肥方面がどうなるか、懸念されます。」

 

 「そうか・・・。反乱の兆しがあるのなら、早めにこちらから仕掛けよう。于禁よ、おまえは梅成を、張遼、お前には陳蘭とやらを任せようと思うが、どうだ。」

 

 于禁が答える。

 「かしこまりました。兵力には問題はありませんので、私は梅成の討伐に全力を挙げます。」

 

 続いて張遼が答える。

 「こちらも兵力的には問題ございません。陳蘭の首を取って参ります。」

 

 「うむ。二人とも頼もしい限りだ。よろしく頼むぞ。それと、劉曄。」

 

 「はい。」

 

 「お前は、王佐の才と言われる荀彧の下で数年間、じっくりと働き、学ぶ時間を与えた。その才能の片鱗を、私に見せてくれ。今回は、張遼の軍師として従軍するように。」

 

 「かしこまりました。死力を尽くして励みます。」

 

 「張遼、劉曄をよろしく頼むぞ。」

 

 「はい。劉曄殿、その智謀、頼りにしておりますぞ。」

 

 劉曄は、拝礼した。

 

 そして、他には鄴に戻る面々は、今後は西方計略に主眼を置いて取り組むことが確認をされた。

 

 軍議は終わり、曹操は最後に劉曄に言った。

 「劉曄よ。此度の戦、しっかりと結果を出せ。そすれば、更なる役目をお前には与えていくつもりだ。遅れることなく、私の背中についてこられるよう、精進せよ。」

 

 「はい。ありがたきお言葉。必ずやこの劉曄、丞相のご期待に応えて見せます。」

 

 こうして、于禁、張遼、劉曄以外はここより鄴を目指した。

 

 劉曄の培ってきた力が、いよいよ実戦で試される時が近付いてきたのである。

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