第13回 劉曄、劉渙に会う
劉曄は、曹操の下に向かう前に、故郷である成徳県に立ち寄ることにした。兄が病、というのは劉表への方便として使ったが、たまには帰郷せよ、という文をもらっていたのは事実であった。
劉曄にとって、数年ぶりの帰郷である。
しかし、その街並み、風景というのは何ら変わっていない。
「平和な証拠だな。」
劉曄は、兄が領主としてしっかり治めているのであろうと安心をした。
劉曄はどこに立ち寄ることもなく、劉渙の下へ向かった。
劉曄が戻ったと聞くと、劉渙は自ら出迎えに来た。
「劉曄よ、何年ぶりだ。元気そうで何よりだ。」
「兄上も。実は、ご報告があり、立ち寄らせてもらいました。」
「そうか。さあ、まずは中に入るがよい。誰か、酒食を用意してくれ。」
劉渙は劉曄を自分の居室に誘った。そして言う。
「劉曄よ。先ほど申していた報告とは?」
「はい。実は、今までお世話になっていた劉表様の下から、今後は曹操様にお仕えすることに決まりました。」
「曹操といえば、今から正に袁紹と対決をする直前ではないか。危なくないのか?」
「荊州は平和でしたが、これからはそうはいかないと思います。」
「そうか・・・。何故、その様なことに?」
「劉表様や荊州名士の方々には、私の発言は些か手厳しいものだったようです。そこに、曹操様の下へ来ないか、とさるお方からの誘いを受け、その途中に寄らせて頂きました。」
「なるほど。お前の才覚であれば、どこでもやっていけるとは思うが・・・。戦地で働くというのは、私としては少し心配ではあるな・・・。」
「兄上。しかし、曹操様と袁紹の戦いの勝者が、次に南方を狙うのは必然的なこと。間もなく、この国全体が戦乱に巻き込まれることになりましょう。」
「そうか・・・。この国に本当に安全な場所などない、ということだな。」
「兄上におかれましては、世の流れに合わせて、何事もご判断いただければ、大過なくお過ごしできると思います。」
「なるほどな。その流れがお前にとっては、曹操、というわけか。」
「はい。北方を制するのはまず間違いなく曹操様だと思います。袁紹は名家の出身であり、勢力も大きいですが、それを使いこなせているとは思えません。」
こうして、劉曄は劉渙に必要なことを話し、いよいよ曹操のいる許都へと向かうのである。




