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ニャン太商会繁盛記!猫耳美少年兄弟、貞操逆転世界で成り上がる  作者: 黒猫丸


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19/24

■19 法人化とニャン太ブロマイドくじ、AZケルベロス

ニャン太の有料コンサルによるベビーカステラ改め、ニャン太焼きはロケットスタートを決めた。


それまで売り上げがほぼゼロだった状態から、わずか数日で1日の売り上げが100万円をこえるようになったのだ。


しかもお菓子という消耗品で、リピート率も凄まじい。


そして重要なのはSNSのトレンドを席巻しているニャン太の名前を冠したお菓子が、ここ武蔵国文寺公園でしか買えないという事実だ。


客たちの中には1人3袋の制限いっぱいまで買って、地方に送っている強者もいるらしい。


春香の生ハムサンドは生モノのため地方配送は不可能だが、ニャン太焼きであれば冷蔵配送で送れないこともないからだ。


ニャン太焼きも数日で全国に有名になったため、阿賀沢晴子はニャン太と相談して商標登録と実用新案を急ぐとともにニャン太に続いて有料コンサルを打診した。


「ニャン太様。あんたの商売センスは大したものだ。


同じように金を払うから、景品屋と射的屋のテコ入れも頼めるかい?」


阿賀沢晴子がニャン太に頭を下げると、ニャン太は鷹揚に頷いた。


「いいぞ。考えはあるが、いろいろと仕込みと手足が必要だな。・・・おい、そこの!」


並んでやっと買えたニャン太焼きを大事そうに持って立ち去ろうとした木ノ下百合を見つけ、ニャン太が声をかけた。


「お前、この前もここにいたな。


平日の昼間からブラブラしてるなんて、暇なんだなお前は?」


「い、いえ!私はまだ大学生ですがちゃんと就職活動をしてまして、今はその、面接の約束の返事待ちです!」


木ノ下百合が慌てて返事をすると、ニャン太は逆に笑みを深めた。


「ほう、仕事を探しているのか?ならちょうどいい。


ニャン太たちが金出してやるから、『ニャン太商会』を作ってニャン太の言うとおりに会社を動かせ!」


「ひぃいいい~!」


ここに合同会社ニャン太商会が爆誕した。


代表社員は芹根春香と木ノ下百合であり、国籍と納税の問題があるのでニャン太とリオンの社員登録は無い。


3百万(すぐに1千万円に増資)の初期出資は春香にしてもらった。


ニャン太たちのチップで稼いだ現金の使い道がなく、余っていたからだ。


なお春香が「あたしには会社経営なんて無理です」と怖気づいたのでニャン太商会の実務は百合と「就職活動腐れゾンビ」チャンネルの24名が担当することになる。


阿賀沢晴子が準備していたニャン太焼きの商標登録と実用新案も、最終的にはニャン太商会が巻き取った。


ニャン太の思い付きで始めた会社だったが、その後にニャン太の思い付きの数々をビジネス化して2年目で年商が5千億円を超えるようになり、3年目で1兆5千億円に達した(売上高は現代日本における任天堂級)。


その後様々な配下企業を抱えたニャン太商会は「ニャン太商会ホールディングス」となり、ダントツな利益率と社会的な影響が極めて大きいことから大和神国どころか世界でも有数の企業となる。



ニャン太焼きに続いて、ニャン太は「くじ景品屋台」をテコ入れすることにした。


これは1枚500円のくじを買って様々な景品に交換してもらえる縁日の屋台でよく見るタイプだったが、やはりベビーカステラと同様に売り上げは壊滅的だった。


武蔵国文寺公園に来る客の目当てはニャン太とリオンで、くじ景品屋台の特賞の携帯ゲーム機にも誰も関心がなかった。


手始めにニャン太は景品用として自分のブロマイドを用意することにした。


元世界でも金がないときに男装したラフラカーンの姿絵を売って大儲けした成功体験があるからだ(その時は版画だった)。


ブロマイドはニャン太がモデルとなり、木ノ下百合のスマホで撮影させた。


写真を色んなサイズにプリントし、ちいさいものは通常の写真サイズであるL判、大きなものはA0ポスターサイズまで5種類を用意した。


1回500円で小さなくじを引いて、ハズレは通常サイズの生写真2枚、特賞の大当たりはA0ポスター(開業特別記念版はニャン太のサイン付き)となる。


なお特賞のポスターだけは専用の写真で、他のサイズでは展開せず差別化してある。


また写真も良かった。


「あたしちゃんと撮れるかな?」と撮影に際して不安になった木ノ下百合だったが、ニャン太のモデルスキルが異常に高かったため問題はなかった。


どんなポーズでも完璧な絵になり、しかもニャン太はサービス精神旺盛だった。


わざと鎖骨を見せたり、へそチラしたり。


弾けるように笑ったかと思ったら、無防備に寝始める。


短時間でくるくる変わるニャン太の表情やポーズを、木ノ下百合は自分のスマホで撮りまくった。


そして写真屋に現像に出したテストプリントが上がってきたのを見て、木ノ下百合の手は感動でブルブルと震えた。


この時代で男性の生写真を持っている女性は男性本人の家族などの可能性しかなく、非常に限られている。


ましてや実在する美少年のブロマイドなど入手の可否どころか今まで商品として存在すらしていなかった。


そんな超貴重な芸術品が1回500円で2枚も手に入るのだ。人気が出ないわけはない。


『・・・これは売れるッ!全部欲しくなる!』


気合が入った木ノ下百はインターネットのプリント屋に数千枚オーダーで大量発注をかけた。


また写真を入れる紙袋もニャン太のイラスト入りでネットの印刷屋に大量注文した。


くじ景品屋台用の景品はマージンを取って、ニャン太商会から阿賀沢実業へ卸すことになっている。


そしてこのビジネスは、とてつもない利益をニャン太商会にもたらすことになる。


景品の準備が完了して阿賀沢商会にくじと景品のブロマイドを納品し、開店準備が整った。


ニャン太焼きに次いで試験的にオープンしたニャン太ブロマイドくじも結果として、異常な人気となった。


ニャン太ブロマイドくじは事前に何の宣伝もしていなかったが、阿賀沢実業の的屋ネキが屋台の準備を始めると周囲がざわつき始めた。


まず「ニャン太ブロマイドくじ」の看板が屋根から垂れ下がったからだ。


これはニャン太がサービスで描いてくれたもので、写真風の見事なイラストに素晴らしいデザインのフォントで「ニャン太ブロマイドくじ」と描いてある。


そして景品サンプルを並べて貼った屏風を広げると、絶叫が起きた。


ニャン太の生写真がずらりと並んでいたからだ。


「「「「ぎゃああああああああ!ぜんぶ、全部~欲しいぃぃぃい!!」」」」


的屋のアネキは2人。


どちらもこの道10年以上のベテランだが、かつてない緊張感で屋台の準備を進めていた。


『ウケるのは分かっていたが、これほどとは・・・』


周囲で待っている客たちはひとしきり絶叫した後は静かになったが、それが逆に爆発寸前のような緊張状態になっていた。


的屋たちは気を引き締め、ニャン太ブロマイドくじの営業ルールを思い起こした。


これはニャン太と阿賀沢実業で事前に取り決めたものだ。


くじは1人1回まで(現地での販売在庫を増やした後は1日3回までに緩和された)。


特賞から2等以外の景品は、外から見えない紙袋に入れて客に選ばせる。


小学生以下の子供がくじを買ってハズレの5等が出たら、希望次第で3等に格上げする。


景品の横流しや、店を丸ごと売るのは絶対にしない。バレたら景品の提供を中止する。


特に最後のルールが非常に厳しい。


実際、初日から「店ごと買いましょう!」という申し出や脅しが複数あったからだ。


もしこのルールがなければ、的屋たちは速攻で店ごと売り飛ばしていた。


だが的屋たちは義理人情を重んじる古いタイプで、「親」である阿賀沢晴子に恩義を感じていた。


下手を打ったら、確実に破門される。


それどころか破門の回状が全国に回り、的屋として生きていけなくなる。


よって「店ごと買い取らせてください」の申し出は丁寧にお断りした。


「金なら出す」「あたしを誰だと思っているか?」としつこく食い下がるパワハラっぽい客は場内整理係に連れ去ってもらった。


午前9時半になり、ニャン太焼きとニャン太ブロマイドくじが同時に開店を告げると、初見のブロマイドくじに半分くらいの客が並んだ。


初日に持ってきた800枚のくじは昼過ぎにはすべて売り切れとなり、売り上げは1日で40万円に達した。


途中で5つあった特賞がすべてなくなっても客足が途切れることはなく、視察に来た阿賀沢晴子はニャン太ブロマイドくじの成功を確信した。


そして後日「途中補給運用」が開始され、ニャン太ブロマイドくじは1日に2回も景品の補給を受けるようになり、合計で2400枚を売るようになった。


景品とはいえ紙モノは重たく、的屋たちが当日用に持ち込めるのは800セットが限界だったからだ。


しかしそれでも当初は「1人1日3回まで」という購入制限があったので、金持ちたちは「並び子」を10人以上雇って投入するようになった。


大量購入すると、当然ながらダブりのブロマイドが出る。


1週間ほどたつとニャン太プロマイドくじの閉店後も客たちが自発的に残って交換会を始めた。


ダブったブロマイドを他のブロマイドと客同士で交換しているのだ。


客たちは交換希望のニャン太ブロマイドをビニールケースに入れて首から下げ、うろうろして交渉の声をかけられるのを待っていた。


「これと交換しませんか!」


そして相手が首からぶら下げているブロマイドを気に入れば、交渉は成立だ。


だが中には交換せずに金で売る、つまり転売する女もいた。


しかしニャン太のおひざ元である武蔵国文寺公園では、転売は非常に嫌われていた。


「ニャン太様で金もうけするなど、以ての外!」


転売がバレると2度と交換に応じてもらえなくなった。


それどころか転売屋は顔写真を撮られてマウントに「NYT様を金で売る転売屋」として晒され、果てはSNSのアカウントや個人情報まで特定されて凄まじいバッシングを受けた。


転売屋はすぐに匿名販売が可能なネットフリマに移行したが、ニャン太のブロマイドはカメラ目線で3本指を出していないため、第3者に画像を公開できない。


ブロマイドはカメラによる再撮影やスキャナーによる画像取り込みもできなかった。


男性AIプロテクトが作動したからだ。


木ノ下百合が撮影に使ったラブ亀では男性がカメラ目線でピースサインという「撮影許可」を出すとAIが撮影OKと判断し、そこから10秒間はサインがなくても撮影できた。


よって画像をプリントすることもできたのだが(もちろん印刷機にも偽造紙幣防止同様のAIプロテクトがかかっている)一般公開OKを示す3本指とカメラ目線ではないため、撮影者である百合ですらブロマイド画像をインターネットにアップロードして公開することはできないのだ。


仕方なく転売屋はブロマイドの上にトレーシングペーパーを敷き、その上カメラをだいぶ遠ざけて男性AIプロテクトを胡麻化して何とか撮影した。


しかしその画像はすぐに詐欺師たちに流用され、在庫がないのに売ったふりをするカラ売り屋のトラブルに巻き込まれた。


ニャン太も百合も転売対策はろくに考えていなかったが、男性AI判定がブロマイドの転売対策にも非常に有効に作用していた。


そしてニャン太ブロマイドはじわじわと地方にも波及していった。


ニャン太焼きを送るついでにブロマイドも送ってくれと地方の知人や親族から頼まれる客が増えたからだ。


ニャン太ブロマイドは地方ではさらに衝撃的だった。


TVや雑誌などのマスメディアは当然のこと、ネットでも実在する美少年の美麗な写真など誰も見たことがなかったからだ。


しかも非常に優れた芸術家であるニャン太は「外連味」も理解していた。


幸せではじけた様な笑顔を見せるニャン太のブロマイドを見て女たちは元気になり、泣き出しそうなニャン太を見て「何とかしてあげたい」「あたしも泣きそう」という気にさせた。


のちに阿賀沢実業はニャン太商会と組んで、「ニャン太ブロマイド展」を大和神国の地方都市で巡回させた。


何百枚もの大判ブロマイドを展示し、また現地でニャン太ブロマイドくじを引けるようにした催しだったが、この興行も大ヒットした。


連日、数万人が押し寄せる事態となったのだ。


ニャン太商会が単独の開催ではなく阿賀沢実業と組んだのは理由があった。


販売の屋台が阿賀沢実業の担当であることに加えて、ニャン太ブロマイドの在庫を狙った空き巣狙いや大がかりな襲撃がたびたびあったからだ。


阿賀沢実業のおひざ元である国文寺市でさえ、ニャン太ブロマイドの景品を保管している倉庫や輸送中の車両が幾度となく狙われている。


狙ってくるのはニャン太ブロマイド欲しさの素人に加え、金持ちの依頼による闇バイト勢のほか、海外の傭兵部隊を含むイリーガル戦力などもいた。


海外の傭兵部隊はたいていマフィアや大がかりな麻薬密売組織に雇われていたが、これらがニャン太ブロマイドを狙うには理由があった。


正式に海外輸出していないニャン太ブロマイドは海外では1枚当たり千ドル以上(約15万円)で取引されており、「ゴールドの3倍の価値がある」と言われていたからだ。


スキャナや印刷機はたいてい大和神国製で男性保護のAIプロテクトが仕込まれており、ニャン太ブロマイドをコピーすることは精巧な偽札を作るくらい難しかった。


海外大金持ちにはニャン太とリオンの熱狂的なファンも多かったが、海外大金持ちの過半数は文字通り真っ当な人間ではなかった。


麻薬密売などの犯罪組織を率いていたり、社会のダークサイドになんらかの関係があったのだ。


特に犯罪組織はニャン太のツーショット画像などがインターネットで出回るようになってからハードドラッグの売り上げが急減して困っていた。


ジャンキーたちにとってドラッグより無料のニャン太画像の方が、「よくキまる」と評判になっていたからだ。


そこで犯罪組織はドラッグに代わる新しいシノギとしてニャン太ブロマイドに注目していた。


結果として海外犯罪組織の傭兵部隊や人権抑圧国家の非合法部隊がニャン太ブロマイドを手に入れようと、五月雨で阿賀沢実業の屋台や在庫を保管している倉庫を襲ってきた。


「ヤクザ者をなめやがって!」


阿賀沢晴子は倉庫や景品の輸送車両の襲撃に激怒した。


ヤクザ者としてのメンツの問題もある。


この世界はナメられたら終わりだ。盗難や強奪を絶対に許してはならなかった。


また幸いにも初回は撃退できて被害はなかった。


しかしもし被害が出たら、ニャン太から「盗まれたふりして横流ししてるんじゃないか?」と疑われ取引を停止される可能性もある。


それだけは絶対に避けなければならなかった。


晴子は身内を倉庫や輸送時の警備に当たらせていたが、ほどなく阿賀沢警備という専門の会社を立ち上げた。


仁義を重んじる古いタイプのヤクザである女任侠たちに加え、格闘技経験者や元軍人に加えて再教育した半グレたちを高給で大量に雇い入れ、戦闘訓練を積ませた。


ニャン太に相談したところ、新人への戦闘訓練はラフラカーンが教官となり実施された。


元軍人や半グレたちをして「あの新人訓練は悪夢だった」と泣きが入るほどの濃密な対人戦の訓練が行われた。


ニャン太商会も阿賀沢警備の戦力アップを目的に特殊装備を提供した。


阿賀沢警備向けのバトルスーツやヘルメット、防弾シールドに雷撃できる特殊警棒などだ。


それらは後にニャン太商会が開発した霊札から派生した特殊技術がふんだんに使われていた。


民生用としてはおそらくは史上初となる鬼沁回路を織り込んだ特殊装備は、討伐省防衛局の特殊部隊装備を質で上回っていた。


特に防弾防刃防呪性能を高めたバトルスーツとヘルメットは一目で分かる特徴的なデザインをしており、「ガーディアン・ギア」と呼ばれていた。


ガーディアン・ギアをはじめとする阿賀沢警備の専用装備品には犬の3ツ首がデザインされていた。


ニャン太がサービスで「泥棒、武装ギャング、厄鬼の3つから皆を守る番犬になって欲しいな」と阿賀沢警備のロゴをデザインしたのだ。


そのロゴデザインの印象の強烈さから、阿賀沢警備は「ケルベロス」と呼ばれるようになった。


特に海外イリーガル勢にとってケルベロスの名は、立ちはだかる鉄壁として有名になった。


「大和神国のケルベロスが相手なら、依頼料は最低で基本料の3倍からスタート。


メンバーは10名以上で各自の装備は最低でサブマシンガン、アサルトライフルも必要」


それが海外傭兵部隊の対ケルベロスの交渉スタートラインとなった。


阿賀沢警備では対人戦のほかにも厄鬼の討伐代行を行うことがあった。


屋台など地方でのイベント会場近くに厄鬼暴種が顕現したにも拘らず衛士の対応が間に合わないときは、阿賀沢警備の警備員が自主判断で討伐したのだ。


ラフラカーンの薫陶を受けニャン太商会謹製の特殊装備で身を固めた警備員たちは、暴種乙型までは危なげなく討伐できるようになっていた。


数年も経つと阿賀沢警備は「警備会社」と名乗っているにも拘わらず、世間の評判は「大和神国でもっとも戦闘経験が豊富な民間軍事会社」として評価されるようになった。


実際、大和神国各地で1週間に1度は大規模な防衛戦闘が発生していたからだ。


戦闘の大半は海外の金持ちたちに雇われた傭兵を中心としたイリーガルチームで、最低でもサブマシンガンなどで武装していた。


特に阿賀沢警備が有名になるにつれ、海外の地域紛争で名を挙げた海外傭兵団が売名のために阿賀沢警備に挑んでくることも多くなった。


さらに対人戦に加えて、厄鬼の討伐代行も発生する。


この頻度は接敵密度としては一般的な討伐省討伐局の衛士たちの数十倍以上であり、阿賀沢警備に数多くいる「戦うことが生甲斐」なバトルジャンキーたちを狂喜させた。


阿賀沢警備では防具として非常に優秀な「ガーディアン・ギア」のおかげで戦闘での人的消耗がほぼ無かった。


ガーディアン・ギアの対物理結界はライフル弾を無効化し、ナイフの刃を止め、テイザー銃やスタンガンの電撃も受け流した。


マスクは催涙ガスを100%無害化し、ゴーグルは暗視機能に加えて閃光手榴弾の音と光も無効化した。


これらの強力な装備により「ケルベロスはニャン太薬でラりってるから銃で撃っても死なない」という噂が実しやかに囁かれ、恐れられた。


実際にガーディアン・ギアを装備して内蔵されている鬼沁回路を駆動させた警備員たちの瞳は緑色に発光しており、「ラりってる」と恐れられても不思議ではない見た目となっていた。


ニャン太商会の業務拡大に伴い市場に流せば大金を得られるニャン太グッズも大幅に増加し、阿賀沢警備の仕事と防衛戦闘は増える一方となった。


ほどなく討伐省討伐局からは厄鬼暴種討伐代行の委託契約を受注し、阿賀沢警備は民間軍事会社ならぬ民間討伐会社としての側面を持ち始めた。


大和神国内での討伐代行が成果を出し始めると、厄鬼に対する防衛戦力に乏しい小国からの依頼も次々と舞い込むようになってきたのだ。


阿賀沢警備はAZケルベロスと社名を変更し、海外展開や現地での雇用・訓練を積極的に進めた。


AZケルベロスの雇用促進は現地で非常に喜ばれた。


大和神国はニャン太効果により厄鬼不況から一足先に抜け出していたが、世界各地ではまだ深刻な不況が続いていたからだ。


AZケルベロスは傷痍軍人や除隊した軍人(中にはAZケルベロスに就職するためにわざと除隊するものも多かった)、そして元警官に格闘技経験者や最強を目指す武人たちを高給で雇い入れた。


そして濃密な訓練を積ませ、ガーディアン・ギアをはじめとする高級な専用装備品を惜しみなく与えた。


特にガーディアン・ギアは自国の軍隊や特殊部隊などの上澄みでも使われていないダントツの高性能・高級品だったため、支給を受けたAZケルベロスの新人警備員たちを唸らせた。


AZケルベロスは戦闘員(社内呼称では警備員)だけではなく、バックアップ部隊や戦闘コントロール要員など非戦闘員の雇用も進め、専門の教育を惜しみなく行った。


ハッキングも多かったので防衛のためAZケルベロスは膨大な予算をかけてITシステムを自社で開発し、IT戦闘部隊も育成した。


このため優秀なIT系人材も多く集まった。


AZケルベロスはIT戦争でも常に最前線で戦い、IT系だけで小国の国家予算にも匹敵する予算が投じられていた。


そのうちニャン太グッズを世界規模で展開し始めたニャン太商会とも歩調を合わせ、AZケルベロスは順調に規模が拡大し錬度も向上していった。


そしてある年を境に、海外のニャン太商会物流センターへの犯罪組織からの襲撃がぴたりとやんだ。


襲撃を計画した首謀者たちが謎の戦闘部隊に次々に襲われて、名の通った犯罪組織ごと壊滅させられるようになったからだ。


謎の戦闘部隊はどこの国の軍隊にも該当しない特殊な白い装備に身を固めていたが、事情通にはピンとくるものがあった。


『AZケルベロスには∀Zケルベロス(ターンエーゼットケルベロス)と呼ばれる非合法戦闘部隊がある』


『∀Zケルベロスは通常装備よりもさらに強力な白いガーディアン・ギアを装備している』


『∀Zケルベロスに狙われて生き延びたヤツはいない』などと畏怖を込めて語られるようになった。


そんなこんなで阿賀沢警備発足から5年。


ニャン太グッズの盗難防止から始まった小さな警備会社は、「AZケルベロスだけには関わるな」と犯罪組織からも恐れられる世界最大・最強の民間討伐会社に発展した。




19話にしてようやくニャン太商会登場です。


もとはただのブロマイド売りですが、ビジネスがノリよくガンガン大きくなっていくと楽しいですよね。


今回はブロマイドの交換や転売、そしてブロマイドを狙う犯罪者に対抗するために作られた警備会社(のちに民間軍事会社⇒民間討伐会社)まで風呂敷を広げました。


これに絡むネタもいろいろあるので、たぶん広げた風呂敷は美しくたためる・・・はず?

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