閑話 家族
暖かな陽差しを浴びて、その少女は起き上がった。
何かを探すようにキョロキョロと辺りを見回して、しかしお目当てのモノが見つからなかったのかがっくりと肩を落とす。
「気のせいかな、兄さんがいた気がしたんだけど」
橙の長い髪と橙の目が特徴的な少女だった。肌は人種柄白いが、農村の娘らしく健康的な日焼けの跡も見られる。
「まっ、でも、兄さんがいるわけないよね。あの人には夢があるんだから!」
背伸びをすると彼女は立ち上がって、着替えを始めた。
「おももー」
すると足元から、謎の鳴き声が聞こえてきた。下を見ると、そこではおも達が座っていた。
「おもおもー」
「えーと、この子たちは……?」
彼女は知らない。自分をここまで送り届けてくれたのが彼女たちであるということを。
そして彼女らもそれは言わない。
彼女が王都に行っていたなどという事実は、存在してはならないからだ。唯一何も理解していない一際小さなおもは、ふりふりと踊っていたが。
「まあいいや、今日はおばさんの手伝いに行かないと!」
「頑張ってー」
「……喋れたんだ」
服を着替えて、朝ごはんを作って、おもにも分けながらそれを食べる。おもたちは3人いたが、少し食べると全員お腹いっぱいになった。
そうして準備を終えると、彼女は家を出ていった。
「おはようございます、ジーナスおばさん!」
「あらおはよう。早かったじゃないか」
「はい、なんだか昨日たくさん寝たみたいで!記憶はないのですが……」
「たくさん寝たのなら今日はいっぱい働けるね!さあ、収穫の続きだよ!」
「はいっ!あれでも、なんか大分進んでいるような」
「徹夜でやったからね。時期を逃しちゃ良くない」
ジーナスは彼女を連れて行った騎士服の女性のことも、二日後におも達が彼女を運んできてくれたことも言わない。
世界は果たして、優しい嘘で回っていた。
ひとまずこれでグローリー王国での話は終わりとなります。
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