大門・五田・天宮その5
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「はっ……、はっ……」
五田の斬撃を何とかかわしながら走り続けた大門の目の前には、既に本部からの出口があった。
(よし……!これで……)
「じゃぁぁーーい!」
「ごぶっっ!!」
大門の鳩尾に、鈍い痛みが走る。
次の瞬間、大門は後ろに吹き飛ばされ、目の前にあった出口は一気に遠退いてしまった。
(くぁっ……なんだぁ!?)
大門は痛みで未だに痺れる体を何とか起こし、この衝撃の正体を探す。
そして先程まで大門がいた場所には、どこからか現れた天宮がいた。
「くそ……、やっぱりそう簡単にはいかないか……」
「とーぜんじゃい。今が敵の大将ぶっ倒す絶好のチャンスなんじゃ。簡単に逃すわけねーじゃろ」
天宮は首の骨をならしながら、ゆっくりと大門に近付いて来る。
近付いてくる天宮も十分脅威だったがそれ以上の殺気が、大門の後ろから近付いてくる事を、大門は察知していた。
大門は無理矢理体を動かし、横に跳ぶ。
すると、シュキン。と言う甲高い音と共に、床が抉り取られた。
恐竜の爪痕の様な物を残したそれは、恐竜ほどのパワーは無いが、鋭さは遥かにその上を行っていた。
(人間吹っ飛ばしたり床抉ったり……。本当に人間か……)
どちらにしても、絶体絶命。2方向しか塞がれていないが、八方塞がり。
(ならば……近付いてくる天宮から「油絵」を奪い……。能力を発動させるしかない……)
そこからは、この策が、正しいかどうか考え、決断する暇すら与えられない。
後ろからは高速の斬撃、前からは最強の掃除人。
逃げ場はない。活路を作るしか無かった。
「おおおっ!!」
大門は再び前進する。
天宮から「油絵」を奪うため、決死の突撃。
「………っ!諦めたか、大門っっ!!」
天宮は腰を沈め、確実に大門を迎え撃つための体勢を整える。
(かわそうとはしない……。後ろに出口があるから……)
「おおっ!!」
天宮が渾身の右ストレートを放つ。
拳の軌道はとても直線的。しかし、その拳が放つ圧力は、かわそうとした者の体を引き付け、確実に叩きのめす力を秘めていた。
その拳を、大門はかわさない。
まともに受ければ死を免れない一撃を、ステージ4のギタイの強靭な体と、根性で受け止める。
ブッ……。ブツッ……。
皮膚が引きちぎられ、鼻の骨が折れる音が耳の奥で聞こえた。
「こっ……大門っっ……!!」
大門の異常な行動に天宮は目を見開き、驚きを隠せなかった。
「ざあっ!!」
大門は天宮のズボンのポケットをまさぐる。
(あったっ!!)
すると、大門の手に四角い小さな額縁のコツコツした硬い感触が触れる。
大門はそれを一気に抜き取り、天宮の右腕に顔を滑らすようにして更に前に進み、出口に到達した。
顔面を犠牲にして、何とかつかみとった1枚。
しかし、それを近くでよく見た大門に、衝撃が走る。
大門が天宮のポケットから抜き取った四角い「何か」。
それは大門の油絵では無く、四角く白い、何かの残骸。
そして油絵のダミーを仕掛けられていたと言う事に気付き、大門の体が一瞬硬直した瞬間、大門の体を、3つの斬撃が切り裂いた。




