口田隊対村上その2
読んでいただきありがとうございます!
(俺は所詮硬いだけの「盾」……。一人で戦う事はできないか……)
ここに関ヶ原でもいればまだ何とかなったのかも知れないが、おそらく関ヶ原も今どこかで戦っている。運良く近くに来ると言うのは、中々難しいだろう。
(ならば……、少しでもこの隊をここに足止めし、時間を稼ぐ!……少なくともなにもしないよりは、無駄ではあるまい……)
こうしている間にも、村上の体からは大量に出血しており、このままつっ立っているだけでも死んでしまう様な状態だ。
「うおおおっ!!!」
再び、村上は全身を硬化させ、戦闘体勢に入る。
そして村上は地面を蹴り、口田達に突撃する。
今までの「待ち」のスタイルとは一変。自分から仕掛けて行った形だ。
「っ!」
それに意表を突かれたのか、一瞬岩本の動きが鈍る。
「おおっ!!」
そして村上の、岩本の顔面を狙って放たれた右手のパンチを、岩本は何とかナイフを拳と顔の間に滑り込ませ、パンチを反らそうとする。
ギギギッ!と、岩本のナイフが嫌な音をたてる。
村上の鋼鉄の肌と接触したナイフが、逆に刃にダメージを受け、悲鳴を上げているのだ。
「死……ね……!」
「!」
村上を横から、高木が乱射した銃弾が襲う。
村上の横腹を、重い衝撃が貫通する。
銃弾は村上の皮膚を破ることさえ出来なかったが、銃弾を受け止めたため起こった衝撃は、確かに村上の体を揺らす。
「ぐっ……!」
村上は小さくうめき声を上げる。
先程の衝撃で、さらに出血が酷くなったような感じがする。体の動きが鈍い。
(くそ……!空しい物だな、勝ちが見えない戦いってのは……)
村上の体は、この戦いの中で感じていた。
自分がいる場所に、新しい自分に向けられた殺気が近付いて来ている事を。
(しかも今目の前にいる3人より確実に強い……)
村上は、体を更に硬質化させた。せめて一撃でも多く耐えるために。ガブが天宮を殺すための時間を稼ぐために。
「おおおおっっっっ!!!」
村上の咆哮が辺りの空気を震わす。
死を目の前にした生き物とは思えないあまりの気迫に、口田達は動けずにいた。
「おおおっ!!お……おっ……!!!」
しかし、その咆哮は攻撃の前の威嚇でも、状況が村上に傾く合図でもなく、
それは、断末魔であった。
村上の咆哮はだんだん小さくなり、途切れ、聞こえなくなる。
そして完全にそれが止んだ瞬間、村上の体は地面にゆっくりと倒れた。




