東京の片隅で
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都会の夜は明るい。
誰かの残業で作られたビルから漏れ出る光のイルミネーションが町を照らし、街灯や携帯端末の光で常に町は昼のようだ。
そして、今日。
普段通り、町は明るい。
ビルの明かりは全て付き、街灯は心無しか普段より明るく町を照らしている。
しかし、一般人は一人もいない。
今日の晩御飯は何にしようだとか、明日仕事めんどくせー、だとか。そんな日常的な会話を繰り広げる人々は、一人も居なかった。
代わりにいるのは、やや奇っ怪な色合いの服を着た、異様な緊張感を持った集団。
掃除人達だ。
現在、夜の8時59分。ガブの襲撃まで、後1分。
何気無い町並みに擬態する本部を守りながら、各々辺りに注意を払っている。
本部を中心に、半径5キロメートルの円の様に一定の距離を空けながら、どこからガブがやって来ても良いように備えている。
そして、9時。
一瞬の「タメ」もなく、それは始まった。
本部の北側、3キロメートル程の所にある、人払いを済ませたビルが1つ、「崩れ落ちた」。
巨大な砂煙と轟音を巻き上げながら崩れ落ちたビルは、掃除人達の注意を一気に引き寄せる。
そして、
「がぁぁぁぁ!!!」「じゃぁぁぁ!!!」「ざぁぁだぁ!!」
東西南北、各地から、体を「氷」に侵食されたギタイ達が次々と現れた。
「これは……!」
東に居た日田はそんなギタイ達の様子を見て、廃校で戦った多田の事を思い出した。
「っくそ!取り敢えず倒すぞ!!」
日田は近くにいた掃除人達に呼び掛けた後、厚手のレインコートの下の手をマグマにし、「氷のギタイ」達に飛びかかった。
「っつ……。くそ!何なんだ……!」
突如崩壊したビルの近くにいた古田は、あまりの砂煙に少し吹き飛ばされ、腰に少しの痛みを覚えながら立ち上がった。
(まぁ……十中八九ガブのギタイの仕業だろうが……。急に経年劣化とかで壊れました、とかじゃさすがにないだろ)
一瞬にして無惨な姿に変わってしまったビルを、改めて見る。
大量の瓦礫が積み重なり、小さな丘の様になってしまったビル。
「よいしょー。ビックリしてくれたかな?」
「!」
その瓦礫の丘の上に、小さな人影が姿を表す。
長い髪をした、華奢な少年?だ。
「まぁ……。たまたまこのビルの中に残ってたガキが……、奇跡の生還。ってわけじゃ無さそうだし……。お前か、このビルぶっ壊したの」
「そうだよ、皆を驚かせるためにねー。深い意味はありゃーせんー」
「ちっ、ふざけやがって……」
ケラケラと楽しそうに笑う少年を見て、古田は小さく毒づく。
「……さぁて、それじゃあ、戦おっか。お兄さんも、僕の事見逃す訳にはいかないでしょー?」
「当たり前だろ。ここで殺す」
「怖いなぁ、全く。まぁ、一応名前だけ、僕の名前は「関ヶ原・十」お兄さんは?」
「古田だ!」
関ヶ原の足元の瓦礫の一つが持ち上がり、何かが飛び出す。
現れたのは、古田の「ダイダラゴン」だ。
そのしなやかで鋭利な刃が、関ヶ原の首に飛び付いた。




