決戦前の一夜
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嫌な事を待つ時間と言うのは、とても早く過ぎる物で、ガブが攻めてくるまでの1ヶ月というのは、口田の中ではまさにあっという間に過ぎていった。
その間に3つの任務を黒ちゃんとこなし、それなりにコンビネーションには自信が付いてきたと思っていたが、いざ大きな戦いに挑むとなると、急に自信が無くなって来る。
「はぁぁ……、嫌だな……。もう明日か……」
口田は事務所の机に突っ伏しながら、大きなため息をついた。
「大丈夫っすか!口田隊長!!」
そんな口田とは対象的に、岩本はやたらと明るい。目には自信が満ち溢れていた。
「……そういえば、修行ってどこに行ってたんだ……?」
「ああ!そうっすね!俺と高木は、黒瀬さんに修行してもらいに行ってたんですよ!」
「……?黒瀬さんって……、あの日田さんの所の?」
「そうっすそうっす!前から黒瀬さんは「死線」って言う技を使うって聞いてたんです!それを教えてもらいに行ってたんっす!」
「「死線」……。聞いたこと無いなぁ……。どんな技なんだ?」
「黒瀬さんが言うには、「相手の「死」に繋がる隙や体の部分に伸びる「線」が見える様になる」って言う事っす。」
「へぇ……。確かに戦闘では便利そうな技だね。」
相手の隙が的確に解れば、最小限の動作で敵を倒し、体力の温存や次の敵に意識を向ける事が出来る。
(しかし……えらく超能力みたいな技だな……。多分「技術」何だろうけど……。やっぱりこの短期間でそんな技を習得できる何て、やっぱりこの二人はセンスがあるんだろうなぁ……)
改めて自分が率いるには力不足な隊員なんだなぁ……。という事を実感した口田は、今回のガブとの戦いで、この将来有望な二人を死なすことは出来ないと決意する。
「……あ!そう言えば、明日のための制服が届いてるよ。」
本部は大規模な戦いと言うことで、味方の区別が目視で分かりやすい様に、掃除人の服を統一する……。
口田は机の下に置いていた段ボール箱を机の上にだし、カッターでガムテープを切って開ける。
そこには、三着の服。広げると白地に黒と緑の線が入った、作った人のセンスを少し疑うような物だった。
(目立つこと優先かな………)
「おおっ!すげぇすっ!格好いいっす!」
「……!?」
「……動きやすそう……私服にしたい位」
(!?僕の感性がおかしいのか!?)
制服を見た岩本と高木の感想を聞いて、口田は自分を疑い出す。
「ん……?どうしたんすか?口田隊長?」
「い!いや!何でもない!何でもないよー」
岩本の心を見透かすような目で見られ、口田は両手を降って必死に否定しながら、顔を反らす。
口田は何だかんだで、決戦前の一夜をリラックスして乗り越える事が出来た気がした。




