スライムその9
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大門は口田達の前にニコニコと微笑みながら立っている。
その笑顔だけみると、敵意は無さそうだ。しかし、本人が言うにはガブのリーダー。その顔の下に何を隠しているかは分からない。
いくら友好的な表情をとっていても、そう簡単に口田達の警戒は緩まないし、若干大門の隣にいる浜松も不安そうだ。
「いや……、すまない。こんな突然現れれば警戒して当然だろう。……やっぱりメールとかにでもしとくんだったかな……」
最後の方は大分小さな声だったが、張り詰めた雰囲気の中、最初に口を開いたのは大門だ。
「掃除人の皆さんは、そこに立ったままでお願いします。そして出来ればその状態で私の話を聞いて下さい。……良いですか?」
大門の要求に、口田達は何も言えず、そして動けなかった。
別に、大門の要求を呑んだ分けではない。本当に「自分の話を聞いてくれ」など言われると思っていなかった以上、一瞬話の流れについて行けなかった。
そして動け無かったのは、大門のこの余裕には、自分達を制圧しうる「何か」があるとどこかで感づいていたから。
(くそ……んだこの違和感……。少なくとも俺達は大門に何かされてる……)
古田は床の中にダイダラゴンを潜行させながらも、中々仕掛ける事が出来なかった。
「今回私が伝えに来たことはただ一つ……。あなたたち、掃除人への宣戦布告です」
「「「!!」」」
口田達に衝撃が走る。表には出さなかったが、口田の心臓は度重なる驚きで最早暴発寸前だった。
(いや……、「ガブ」と言う巨大組織が現れた以上、何時かはこう言う時が来るとは考えられ……、常に準備はされて来た……。だが……ここまで……、堂々と!正面から……。まるで自分が「正義」だと言っているようなものだぞ……)
古田は驚きながらも、大門の言葉を信じてしまっていた。
「大門」は必ずやる……。大門が「宣戦布告」と言った瞬間、大門の雰囲気が変わったのを、古田は敏感に察知していた。
「ちょ……ちょっと……、これどーすんの?頭脳労働はあんたの仕事でしょ!」
古田の隣にいた広末が小さな声でそう尋ねた。
「……っ……」
そして、古田が答えを出す前に、大門が口を開く。
「時は1ヶ月後の10月21日、夜9時ちょうど。「全国掃除店協会本部」を「真正面」から襲撃して……「天宮吉之助」の首をいただきます。もちろん、ガブの最大戦力を持って」
大門がそう言い終わった瞬間、
「言いたい事はそれだけか?」
黒い閃光が走った。
いつの間にか大門の後ろに移動していた黒ちゃんが、大門の後頭部に向けて右の回し蹴りを放つ。
最先端の技術で作られた強靭な体と、雷の力が合わさった必殺の一撃が、大門の死角から放たれた。
「ええ、それだけです」
「!」
しかしその一撃は、むなしく空を切った。
大門は腰を落として黒ちゃんの攻撃をかわしていたのだ。
「それでは皆さん。また会いましょう。行きますよ、浜松くん」
「了解」
そう言うと、大門と浜松は黒ちゃんの開けた天井の穴から外に脱出し、一瞬でその姿を消した。床の中に潜行させていたダイダラゴンも追い付けず、口田達は大門を逃がしてしまった。




