スライムその3
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あながち東京には人の住んでいない空き家とか、廃墟とかが有るのだなぁと、口田はここ最近の任務で思い始めていた。
そして今も、そんな廃墟の前に口田は立っている。
近くに居るのは口田隊の面々と、古田と広末。
周りには大量の木々が目一杯枝を伸ばし、うっとおしい程の緑が広がっている。葉1枚1枚が太陽の光を反射し、生命力に道溢れていた。
そんな爽やかな夏の風景に囲まれてひっそりと立っている、3階建ての小さなマンション。
今は誰も住んでおらず、人が生活している気配は感じられない。
(人は住んでいない……けど)
ギタイはいる。ここが、ステージ4のギタイ「スライム」が一匹で潜伏しているとされる場所だからだ。
口田は、昨日の古田の話を思い出す。
「最近のギタイ討伐の活発化で、都内のギタイは活動を静め、表には出てこなくなってきている。そんな中で「スライム」はこんな不用意に姿を見せた……。「ステージ4」の自分の強さに自信があるからか……。それともまた、別の狙いがあるのか……。」
(「掃除人」はいつもギタイを「狩る」立場だ。いつも任務に行くときは自分の方が立場が上だと、どこかで思っている……)
自分達の「ギタイを倒す」と言う行動が「正義」と信じ込んでいるためか。
(「追い詰めた」と思っていたら、逆に「追い詰められていた」……。)
口田は恐怖で少し背中を震わせる。
「よし……。それじゃあ、行くか!」
古田の声が響く。突入の合図だ。
古田と広末を先頭に、口田達はビルに入った。
「スライム」……本名、「浜松・レオン」は、三階の小さな窓から、外の様子を覗いていた。
ただでさえ目付きの鋭い男がさらに目を尖らせると、ただ見ているだけなのに威嚇しているようにも見える。
(………マジかよ。ホントに来やがったぜ……)
外にいる口田達を見て、浜松は驚きで少し笑ってしまう。
「っと……。連絡連絡……」
浜松は床に置いていたカバンから旧型の携帯を取り出し、電話をかける。
「……あ、俺です。浜松……。はい、掃除人達が来ました。数は5人……。了解しました。今日は「お知らせ」だけという事で……。わかりました。いらっしゃるまで適当に時間稼ぎします。」
そう言うと浜松は電話を切り、カバンに携帯を投げ込んだ。
「さってと……やりますか」
浜松は立ち上がり、屈伸、伸び。体をほぐす。
「……っし……!」
浜松の目に、静かに炎が灯った。熱く燃える、闘志の炎。
時間稼ぎをする男の目ではなかった。まるで、死地から脱出するため、一人で数千と言った敵をなぎ倒す覚悟を決めたような……。そんな目だった。




