関ヶ原と村上
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「あ……了解……」
関ヶ原と呼ばれた少年は、しゃべり難そうに返事をした。
「ん……ん……」
どうやら、まだ口の中に入っている飴が大きく、口の中のスペースを支配している様。
「ん……あ!」
どうにかして喋り安くしようと四苦八苦していた関ヶ原だったが、口の隅に飴を追いやることで、何とか舌を回すスペースを確保できたらしい。
「僕の名前は「関ヶ原・十」。基本的には掃除店の奴等と戦ってまーす。いつ死ぬか分からないので適当によろしく~~。……あと、」
そこまで言うと、関ヶ原の首がカクン、と時計の振り子の様に横に揺れた。
それに伴って、左目にかかっていた髪が右目にかかり、今まで見えていた右目が隠れ、左目が現れる。
すると、関ヶ原がまとっていた雰囲気が、がらりと変わった。
無邪気な少年の、明るくもどこか不安定な物から、柔らかい見るものを包み込むような優しいものに。
(これは……)
「………あら、変わったの、十。」
関ヶ原の声は、先程までの高い少年の物では無かった。
(女性!?)
いくら声変わり前の少年の声が高かろうが、女性の物とは全く違う。
だが、今関ヶ原の口から発せられる声は、まごうことない女性の物だ。
「そう、新しい人が来たから自己紹介を……。そちらの方ですね。初めまして。私は「関ヶ原・百」。十の姉です。」
そう言うと、関ヶ原はスカルヘッドの方を向いてペコリとお辞儀をした。
「……それでは、一旦十に返しますね」
そう言うと、また関ヶ原の首がカクン、と横に動く。
するとまた髪の毛が左目にかかり、雰囲気も元に戻った。
「そう言うことで。次は村上さんの番じゃないの?」
「ああ、わかっている」
そう言うと、関ヶ原の向かいに座っていた筋肉質の男が立ち上がった。
スカルヘッドにすれば、もう少し先程の現象を説明して欲しかったが、普通に大門達が流した所を見ると、慣れるしか無さそうだな、と思い、何も言わない事にした。
「俺の名前は「村上・慎吾」。俺もどちらかと言えば戦闘担当だ。……まぁ、気軽に話かけてくれ。」
(………普通だ)
「……お前、今「普通」だと思っただろう」
「!」
「当たっている顔だな。……まぁ、よく言われる事なんだ。容姿のわりに名前や喋る事は普通だな、とな」
「まぁ……全然悪い事ではないと思いますけど……」
ただでさえ、今のところ話した事のある「ガブ」のメンバーが万月と関ヶ原と言う、どうにも一筋縄にはいかない性格をした者達なのだ。この辺りでまともな人が出てこないとヤバいと思っていた所だった。
「………今、全国から「ガブ」のメンバーをここに集めている所だ。まだまだ仲間はいる。楽しみにしていてくれ」
大門はスカルヘッドにそう言った。
「………?そう言えば、何故今「ガブ」のギタイ達を東京に集めてるんだ?」
スカルヘッドはその言葉に疑問を覚えた。
万月から先程の支部に「お面」を送る途中で、その話は聞いていた。その時から、少し疑問に思っていたのだ。
「………ちょうど良い機会だ。スカルヘッド君にも話しておこう」
大門がそう言うと、室内の空気が少し緊張する。
「我々「ガブ」は近々……、「全国掃除店協会本部」に、襲撃をかけようと思っている」
「なっ……」
大門の口から出た言葉は、スカルヘッドの予想をはるかに越えた、とんでもない物だった。




