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ギタイ 〜全テヲ食ラウモノ~   作者: もちのすけ三郎
2・ギタイ組織「ガブ」
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アイス・マグマその7

読んでいただきありがとうございます!

東京都、とある道路を走る小さな車。

ピンクの可愛らしいボディとは裏腹に、車内の空気は決して明るい物では無い。

同乗者が、万月、フードを被った少年と言う、あまり仲の良く無いメンバーだからかも知れない。

「……そういえば、あの「氷の球体」を渡してもよかったのか?確か実験中とか言っていたが……」

声変わり前の高い声。だが、漂う風格は少年の物とは思えない。まるで死線を幾つも乗り越えた戦士のようだ。

「あぁ~。そうだよ。あれは実験中の代物~~。使用者に莫大な力を一時的に与える代わりに、数十分で力が暴走し、使用者は死に至る~~。何ちゃって」

「ふん……。あの男を実験台にしたのか」

「いやいや~。多田さんは使わないと思ったんだけどなぁ~~。案外慎重そうな人だったし……」

「と言うことは……。何かあった、と言うことか」

「う~ん、必ずそうとは言えないけどねぇ。まぁ、強そうな人は何人か居たけど。……そういや、君を倒した掃除人とやらもあそこにいたのかい?」

「………言う必要あるか?それ」

「ま、そうだねぇ~~」

少年は万月の掴み所の無い言葉にため息をつく。

(どうせ、わかってるんだろうよ。その答えは……)

「万月様。到着しました」

ドライバーが短くそう言う。

外を見ると、車は古びたオフィスビルの前にいた。

東京都ではよく見る、四角い縦長の外観。年季はかなり入っている様だが、丁寧に掃除されているのが分かる。

「ん、ご苦労様。さて、それじゃあ行こうか、金澤君。今日は君の紹介をボスにしに来た。いわば君が主役だよん。」

「……どうして本名を知ってる……。」

「簡単だよぅ。君ほどの有名人。ちょいと検索をかければすぐ出てきたよ。それとも、本名で呼ばれるのは嫌だったかい?「スカルヘッド」君」

「……ちっ」

少年……、スカルヘッドは小さく舌打ちすると、つかつかとビルの中に入っていった。

(いちいちイライラするだけ時間の無駄だ……。)

「ちょっ!ちょっと待ってよ~~」

早足のスカルヘッドを追いかけ、万月もビルに入って行く。

こうして、2つの影は、ビルの中に消えて行ったのであった。



「………多田の臭いが、消えた……?」

日田は上の階を見上げながら、信じられないと言う風に呟いた。

「良かったじゃないですか。先程の一撃は、最後の抵抗だった、と言うわけですね」

「いやいやいや、確かに多少消耗はしてる感じだったが、そこまでじゃ無かったぞ」

日田は黒瀬の言葉を否定し、考える。

(でも……多分、「死んだ」と言うのは事実……。一体何が起きたんだ……)

結局、結論は出ない。黒瀬の、「否定しといて何もないんかい」と言う視線が痛い。

「しかし、日田君。機転が効きましたね。目の前にやって来た氷を溶かすのではなく、足元の廊下の床を溶かして1つ下の階に退避するとは。簡単ですが、良くあの一瞬で思い付きましたね」

「ああ……。その前の「鳥」と戦ったときに「止め」の余波で廊下とかも溶かしちまってたからな。その光景を見てたからだろ」

そう言いながらも、日田はまだ多田との戦いの事を考えていた。

(さっきの「氷の波」は、俺がおそらく多田の仲間を狙ったからだ。……多田の「仲間」を狙うと言う逆鱗に知らず知らずの内に触れてしまったから……。多田は予想以上の力を出して来た。決して、最後の抵抗だったと言う事では無いはずだ)

多田(あいつ)にとっても……、この死は予想外の事だったのか……?」

唐突で、不可解な「死」だ。

「………それで、まだ仕事は残っていますよ。日田君」

「あ……、ああ、黒瀬、わかってる」

そうだ。まだ仕事は残っている。

屋上にいるギタイの確保だ。

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