アイス・マグマその6
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「はぁ……はぁ……。終わった……」
氷の波が引き、一面氷漬けとなった廊下で1人、多田は立ち上がった。
(確か……この学校内にいる掃除人は後3人。1人は手負いだったから……。行けるか……?)
多田はふらつく体を壁にもたれかかることで支え、何とか姿勢を維持する。
「くっそ……しかし冷えるな……」
自分の出した氷で体調が悪くなると言うのは、中々笑えないのだが……。
(というか……何か視界がおかしい……。違和感が………)
多田は自分の視界がおかしい事に気付いた。
景色がひっくり返ったりとか、幻覚が見えるとか、そんな大それた変化ではない。
(何か……、目に変なレンズを入れられているような……。)
やたらと目の前がキラキラと光る。所々景色がずれる。
それに伴って、体の中も冷え始めた。
先程は仲間を目の前で殺され、混乱した脳を冷やした冷気が、本当に「頭を冷やし始めた」。………簡単に言うなら、そう言う感じだろう。
「あっ……ぐっ……。頭が……重い……!」
段々視界がボヤけてきた。思考も上手くまとまらない。
脳みそが冷やされ、凍らされ、血液が上手く巡っていない。
「ま……さか……。これは……」
両手を見ると、左半身を被っていた氷が、右にも侵食してきていた。
(力が……制御出来ていない……!)
つい数分前まで使う事の出来た能力が、全く言うことを聞かない。
気付けば、頭から下は全く動かなくなっていた。もはや感覚も無い。何か奇妙な台座に頭部だけポン、と置かれている感じだ。
(だっ……だめだ……!まだ掃除人は残っている……!まだ戦わない……と………)
そこで、多田の思考は完全にストップした。
残ったのは、体の内側から氷に侵食され、口や目、体中の穴と言う穴から氷を垂れ流し、動けなくなった男の姿だった。
男の表情は、焦りと整理仕切れない感情でどうしようもなくなり、ひどく衰弱した物だった。




