アイス・マグマその3
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多田が距離を取った事により、硬直状態が訪れる。
重い空気が漂う中で、口を開いたのは、多田だった。
「………もしやと思っていましたが……、貴方、「ギタイ」ですよね。」
「……ああ。それがどうした?」
「いえ……。この世界には私の知らない事はたくさんある。分かっています。貴方にも何か理由があるのだと」
「………」
「だが……。どうでも良い事かも知れませんが、貴方……、能力が混じってますね」
「………ああ。よく分かったな」
「私も現在、一時的に能力を体に2つ宿していますので……。貴方の「マグマ」を受ける内に、「感覚的」に分かりました」
「そうか………。それで、話は終わりか?」
「はい、それだけ……、それだけです」
そう多田は言うと、ペコリと頭を下げた。
その「お辞儀」は、勝利を確信し、どうしても漏れ出た笑みを隠す為だったのかもしれない。
多田は話をしている中で、足元から静かに氷を作りだし、静かに、慎重に、1階を経由することで日田の後ろに移動させていた。
そしてその氷は、パキパキ、と形を変え鋭利な針に形を変える。
針は日田の頭に狙いを定め、飛び出す。
その死角からの攻撃に日田は気付いていない。
「来てるんだろ……。黒瀬」
だが、仲間の気配。それには気付いていた。
氷の針が一閃、真ん中で斬られ砕け散る。
「日田君……。後ろにも常に注意を払って下さい。今みたいに攻撃されますよ」
「いや……お前がどうせ何とかしてくれるから大丈夫なもんかと……。いや、すいませんでした。ちゃんと後ろも注意します」
日田は、黒瀬から発せられる自分への殺気に気付き、下手な事を言うのを止めた。
「しかし、ステージ2のギタイまでしか居ないと言われていたのに……。会長と五田には後で文句を言います!」
「……まぁ、その文句も生きて帰らないと言えないから……。そう言えば、口田達はどうしてる?」
「玄関で待たせていますよ。岩本君が怪我をしていたので応急処置だけして、口田君に任せて来ました」
口田達もきっちり無事らしい。あの「お面」もキッチリ倒したようだ。
「さて……、それじゃあ行きますよ。日田君。」
「了解!」
(………そういえば、こいつ右手折れて無かったっけ……?)
日田は黒瀬の「黒烏」が握られた右腕を見ながら、ふとそう思った。




