アイス・メイク
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2分程前。
「危ない!!」
ドンッ、と言う衝撃が体に加わり、多田は後ろによろめき、しりもちをつく。
「おいなんだ……?急に押したりして?」
多田は顔を上げ、一緒にいた男を見上げる。
そして見たのは、目の前にいた男が赤いマグマに飲み込まれ、溶かされていく様子だった。
「か………。多田さん………」
多田は、目の前にいた男が、何らかの理由で足元からマグマが床を突き抜けて来るのを察知し、自らの命を犠牲にして自分を助けたのだと分かった。
それが分かり、もう一度マグマに飲み込まれた男を見たとき、男は既に跡形も無くなっていた。
「何だってんだ……一体………」
しかし多田には、仲間がやられ悲しむ時間も、あまりの事の勢いに呆然とする時間も与えられない。
ガクン、と足元が揺れた。
「うおっ!」
先程のマグマのせいで、校舎の3階を支えていた鉄骨や床やらが溶かされた。
(不味い……。先程のマグマは幸い屋上にはそこまでの被害は出していないようだが………。このままでは校舎が崩れちまう!)
3階まで被害をもたらした何者かの「マグマ」が、屋上に到達しなかったのは「奇跡」なのだ。この奇跡を無駄にするのは許されない。
(だが、俺の能力は体を糸に出来ると言うごく貧弱な物……。多少の穴なら塞ぐ事も出来るが……)
そう考えている内にも、校舎の崩壊は進む。
再び、多田の足元が揺れた。
(………もう、これにかけてみるしか無いのか……)
多田は先程万月に手渡された氷の球体を取り出す。
(………そう言えば万月様、詳しい使い方教えてくれてなかったよな……。……食えば良いんだよな?多分……)
グラグラと揺れる床が、多田を急かす。
「くそっ!もう一か八かだ!!」
多田は覚悟を決め、氷の球体を口に放り込んだ。
氷の球体は、歯で簡単に噛み砕く事が出来た。
そして、氷の球体を完全に飲み込むと、多田の体の中に、何か冷たい物が宿った。
心と頭を冷やし、多田を冷静にしていく。
(これは……。今俺が食べた物は……「氷」の能力……。万月様の能力の1部………)
多田は不思議な事に、自分の体に起こった変化の正体を簡単に受け入れはじめていた。
(そして今……俺の体に「氷」の能力が宿った……。)
「何だ……この、「確信」と言える感情は……。俺はこの能力を……
「使える」!」
多田の足元から氷が発生する。
氷は教室全体を飲み込み、崩れかけていた場所を無理矢理補強し、崩壊を止める。
氷は教室外にも駆け巡る。
溶かされた床に厚い氷が張り、床が復活する。
柱の折れてしまった部分を補強し、校舎を支えた。
(良し………。一旦校舎の崩壊は止まった……。)
多田は揺れが止まったのを感じ、安堵の表情を浮かべる。
(しかし……もう一度あの「マグマ」が来れば……。屋上にいる仲間が危ない……。)
(………俺が……やるしか無い)
マグマの元凶を突き止め、もしそれが敵であるならば、「能力」を手に入れた俺が止めなければならない。
そうした決意と共に、多田は2階への階段へと向かった。




