バード・ヒーローその2
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「おらぁ!!」
最初に動いたのは岩本だった。
片方の手に2本、合計4本のナイフを持ち、「鳥」に斬りかかる。
岩本は右手に持っていたナイフの1本を、「鳥」の顔面めがけ投げつける。
「鳥」は顔を少しだけ横に動かし、最小限の動きで飛んできたナイフを交わす。
「!」
そして、「鳥」は驚いた。
右手から投げられたナイフは1本、だが突っ込んできている男の右手にはナイフが握られていない。
(どこに……)
消えたナイフがどこに行ったのか?。思考する時間は与えられなかった。
突っ込んで来た男は既に目の前に来ている。既に男のナイフの射程距離内だ。
「しっ!!」
男が左手に持っていたナイフを横に薙ぐ。
「鳥」は上半身を後ろに大きく反らし、ナイフをかわす。
「!」
そして、「鳥」は男の右手から消えたナイフの在処を突き止めた。
上だ。ひゅるひゅると回転しながら、廊下のあまり高くない天井スレスレで、「鳥」の真上を重力が無いかのように浮かんでいる。
そして浮かんでいたそのナイフは、重力の影響を受け、回転しながら落ちる。
その下で待っているのは、大きく広げられた男の右手。
ナイフは吸い込まれるようにして右手に収まる。その一連の動きは、洗練され計算された曲芸の様な、そんな美しさがあった。
「止めっ!!」
男は右手のナイフを「鳥」の顔面に突き立てんと、振り下ろした。
現在「鳥」は、上半身を大きく反らしているという、信じられないほど悪い体勢。顔面を狙うナイフかわす事は出来ない。
「ちっ……!」
「鳥」は小さく舌打ち。
(使わざるを得ないか……。私の能力を……!)
「鳥」の両手が黒い液体で被われ、液体は硬化し、崩れ落ちる。
そして「鳥」は岩本が振り下ろすナイフに「触れた」。
優しく、なんら力を入れずに。一瞬だけ。
(……!?なんだ!?)
岩本はその行動の真意を理解できず、一瞬振り下ろしていたナイフを止めてしまった。
「「触れた」……私の手が……。あなたの「ナイフ」に……」
「何!?」
ドクン!!
岩本は右手の中に何かの振動を感じた。
それと共に右手に広がり始めたのは、生暖かい感触。
(何だ……!?これ!?俺は今右手に「ナイフ」を握っていた筈だ!!冷たい、「ナイフ」!無生物の……。だが今、この俺の右手に広がっている感触……これは……)
いつのまにか、少しザラッとしていたナイフの持ち手が、ごわごわとした、そして少しチクチクとした感触に変わっている
「まさかっ……!これは!」
岩本は右手を開く。
そこにあったものは……。
「「鳥」!?茶色い毛の……、小さな鳥になっている……」
ナイフとは全く別……、ピィピィと可愛らしく鳴く、小さな「鳥」だった。




