黒雷act2
「えっ……えええ!?どうするんすか口田さん!!日田さんどっか行っちゃいましたけど!」
日田が体育館の方に走って行ったのを見て、岩本が叫ぶ。
「……口田くん……。何か考えが?このままではあの「ひょっとこ」に勝てる可能性は中々低いですが………」
「……まぁ……無くは無いです……」
黒瀬の問に口田は少し自信無さげに答えた。
(たしか口見さんは、まだ調整が少し終わって無いって言ってたけど………。一か八かだ……)
黒瀬は腰に着けていたホルスターから小さな黒い拳銃を抜く。
「黒雷」を口田が使いやすい様に改造された、「黒雷・弍」。
威力は落ちたものの、反動、重量が激減し、ついでに携帯性能などにも優れた一品である。
(頼むっ……)
口田は手を高く上げ、大空に向かって拳銃の引き金を引いた。
タンッ!と、乾いた銃声が辺りに響く。
たが、それだけ。敵は口田達を殺すことを目標としたギタイ。多少の威嚇では何の意味も無い。
「……?何の音だ……」
その数秒後、最初に異変に気付いたのは聴覚が人間より優れたギタイの「ひょっとこ」であった。
「………!何か……来てる……」
そして次に、生まれつき五感に優れた高木。
「……一体、何をしたのですか。口田くん……」
「僕の「掃除道具」を呼びました。……もはや「道具」と言って良いか分からないんですけど……」
そして、その「音」の主が、上空からゆったりと、静かに口田の
隣に降り立つ。
「音」の主は、身長120センチ程の小さな少女の姿をしていた。
全身黒を基調とした異様な程特徴の無い服を着ており、その姿はどこか人間離れしている。
「よ……、良かったぁ……。調整……、終わってたんだ……」
「ああ、口見が喜んでいたぞ。徹夜で調整したかいがあったってな」
少女は口田に全く敬意も何もない口調で言う。
「あ……あのぉ……。その娘……誰ですか?何かめっちゃ偉そう何ですけど………」
岩本が恐る恐ると言った様子で口田に尋ねる。
「ああ……この娘は……」
「私の名前は「黒雷・act2」……。黒ちゃん、または雷ちゃんとでも呼ぶが良い……。しかし口田、こんな長話をしていて良いのか?来てるぞ。後ろ」
「!」
「ゴラァ!!」
口田が「黒ちゃん」から目を離し、後ろを見ると、肌を赤くさせた「ひょっとこ」が巨大な体を跳躍させ、こちらに突撃してきていた。
「全く……ギタイを前にして気を抜くとは、しょうがない主だな……」
「黒ちゃん」は小さくそう言うと、右手握る。
すると、バチッ!と一瞬、小さく火花が咲いた。
「雷パンチ……と言ったところか?「面白ろ」仮面?」
「?」
異常な速さで口田に突撃をしていた「ひょっとこ」の動きを、「黒ちゃん」はいとも簡単に見切る。
「下がっていろ、主」
「え?いや1人で大丈夫?」
「大丈夫だ。問題……ないっ!!」
「ごばっ!!!」
喋り終わると同時に「黒ちゃん」の小さな体が動く。
全身の力を右手に集め、その力を「ひょっとこ」に叩き込んだ。
その一撃に、「黒ちゃん」の2倍はある巨漢の「ひょっとこ」の体が、大きくよろめいた。
「私の攻撃は……これだけでは終わらんぞ」
「黒ちゃん」の拳が叩き込まれ、小さな拳の後がついた「ひょっとこ」の体が、ビクン!と痙攣。
「おっばぁばばばばばばばばばぁぁ!?!?!?!?!?」
バチッ!バチッ!!と「ひょっとこ」の体が発光し、激烈な痛みが「ひょっとこ」の体を駆け抜ける。
「私は「黒雷」……。電撃を操る「掃除道具」だ。攻撃に電撃を仕込んでもなんら不思議あるまい」
「ばばばばばばば!!!っああっ……あ……」
「ひょっとこ」は数秒間電撃の痛みに耐えながらのたうち回った後、プスプス……。と言うもの寂しい煙を体から上げながら、動かなくなった。
………「ひょっとこ」のお面の下の顔は、皮膚が焼け爛れ、鼻は潰れ、口はおかしな方向に張り付いてしまっていた。原型を止めていないその顔は、「ひょっとこ」のお面の様に、どこか滑稽な物だった。
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