悪魔とマグマその2
(屋根の上にいるギタイを5分で倒すには、階段を使って上がる時間も惜しい……!)
校庭を走りながらそう考えた日田は、あることを決意する。
「ならば……「壁を登る」!」
ジュワッ!と、日田は両手のマグマの両手の五指に集中させる。
「おおおっ!!」
そして地面を蹴り、跳躍。まず右手の指で壁を掴む。
瞬間、壁の指を置いた部分がマグマでジュワッ!と溶ける。
日田は溶けた部分に指を掛け、体を支える場所を確保。体を持ち上げ、即座に左手も同じ様にして壁に穴を開ける。
それを繰り返し、日田は壁を登っていった。
そして屋根の上につく。
そこにはやはりお面を着けたギタイがいた。
山羊の角のような太い角を額に2本生やした悪魔のお面を着けた、スラッとした長身のギタイ。
背中に先程投げた槍と同じ物を10本ほど入れた「かご」を背負っている。
(確定……!こいつがさっきの投げ槍攻撃の主……)
日田は手に集中させていたマグマを両腕に広げ、臨戦体勢を取る。
「へぇ……、まさか壁を登ってくるとは……。クライミングか何かやってるの?」
そう言ったのは「悪魔」だ。日田の屋根の上に来た方法、速度が予想外だったのだろうか。
「悪魔」が目を見開いて驚きながらそう尋ねた。
その返事の代わりに響いたのは、ガシュン!と言う日田の屋根を蹴る音。
(下らない質問に答えている時間は悪いがねぇ!!)
「せっかちだなぁ……もう……」
やれやれと言う風に首を振り、ゆったりとした動作で背中に背負ったかごの中から槍を1つ取り出す。
(……!、空気が変わった……!)
槍を持ち、構えた瞬間、「悪魔」の纏う空気が、氷の様に冷たく、張り詰めた空気に変わる。
だが、そんな空気に圧倒され、足を止める暇は無い。
「おおおおお!!!!」
張り詰めた空気の中で、2つの力が衝突する。
「悪魔」が体を捻り、貯めた力を解き放つ。
ドッフッ!と言う空気が破裂するような音共に放たれた槍は、ギギギ、と言うしなる音を放ちながら、真っ直ぐに日田の顔面に向かって直進する。
(とった!!この至近距離でこの速度の槍を避けられる奴はギタイにもそうは居ない!!まして人間では無理っ!!)
勝利の確信が「悪魔」の頭によぎる。
「おおおおっ!!!」
それでも、そんな状況でも、日田は走る速度を落とさない。それどころか、上げていく。
「………!?っつ!?まさかお前っ!!」
「悪魔」は、そんな様子を目にして、勝利を確信していた頭に1つの疑念……。最悪の予想が浮かんでしまう。
(こいつっ!!こいつこいつこいつ!!「見えて」いるのか!?この俺の「槍」が!!)
日田が顔の前に右手を出す。
その右手に槍が直撃する。「悪魔」が思い浮かべていたのは槍が容赦なく右手を抉り取る「映像」
しかし、逆に抉り取られたのは槍の方だった。
バッシュウウン!!!!。
槍は真ん中から折られ、無残に屋根に転がる。
(!!)
「悪魔」が驚愕でお面の奥にある目を見開く。
それは槍が居られたことにではない。
槍を防御したことで日田のレインコートが破られ、その下にあった、マグマを纏った腕があらわになる。
「その腕………!!そのどす黒い「赤」!!マグマを纏った腕……!!貴様はっ!死んだはずでは……!!?何故貴様が!!掃除人などやっている!!??」
「………悪いな、下らない質問に答えている時間は無いんだ」
その言葉と共に、「悪魔」の体に熱い衝撃が走る。
熱い、熱い、熱い、日田の右腕が、「悪魔」の体に突き刺さった。
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