巨漢「ひょっとこお面」
「あっ……誰か来ました!!」
多田の隣にいた見張りが声を上げた。
「なに?……まさか……」
多田は見張りの男から双眼鏡を取り、見張りが見ていた方向、廃校の正門付近を見る。
(確かに………装備から見てほぼ確実に掃除人……)
「どうします?支部長………」
見張りをしていた男が多田に聞く。
「どうするって……ここまで来られたらもう戦うしかあるまい……。女子供を屋上に避難させてやってくれ。俺はお面の皆さんにこの事を伝えて……」
そう言って、多田が部屋から出ようとした時。
ズドォォォン………。と、外から轟音が聞こえた。
「何だぁ!?」
多田は振り返り、もう一度外を見る。
そこには、
「あれは……ひょっとこお面さん……!」
万月が派遣した5人の護衛の中の1人。お面の中でも1番の巨漢の「ひょっとこ仮面」が、校庭に侵入した掃除人達の前に立ちはだかっていた。
「っ……おっ!?」
轟音と共に目の前に現れたのは、いわゆる「ひょっとこ」のお面を着けた、奇妙な巨漢だった。
「しかしこいつ………。いまどこからやって来た……?」
口田はその答えを知っていた。だが、それがにわかに信じられない物だったので、自分の見たものが真実だと言う確信を持つために、そう声に出していた。
「口田さん、見ていなかったのですか?あの「ひょっとこ」はそこにある校舎の屋上から回転しながら落ちてきたでは有りませんか。あの巨体であそこまでの俊敏な動き、そして屋上から落ちてもほとんど無傷の体。ステージ3以上のギタイでしょうね」
親切にそう答えてくれたのは黒瀬だ。
「はぁ!?ここに「ステージ3」のギタイはいねぇって五田の野郎言って無かったか!?………あの野郎帰ったら文句言って謝礼金要求してやる………」
その言葉を聞き、メラメラと怒りの炎を燃やす日田。
「それじゃあ、どうするんだい。口田隊長?」
「!?」
そして日田は唐突に口田にそう聞いてきた。
「ん?いや今回はお前の責任能力やら何やらを鍛える任務何だろ?お前に判断を仰いだ方が良いのかと思ったんだが………」
口田は確かに、と思う。しかし、そんな日田の言葉に反論したのは黒瀬だった。
「しかし日田君、いないとされていた「ステージ3」のギタイが出現すると言うとんでもない「イレギュラー」が起きた今、その目的よりも僕達「保護者」がこのギタイを倒して一旦退却すべきなのでは?」
「………まぁ、確かにそれもそうなんだが……。どうする口田隊長?退却するか?」
日田はやはり口田にそう聞いた。どうやら今回日田は徹底して決断を口田に託すスタンスらしい。
「………いえ、ここでこの「ひょっとこ」は倒します。放置して周囲の住民の皆さんに被害が及ぶ可能性も有りますし……何より今ここにはこの「ひょっとこ」を倒す戦力は十分にあると思います。」
「そうすっね、口田隊長!俺、頑張りますよ!」
岩本が口田の言葉に同意を示す。高木も岩本の後ろでこくりと頷いた。どうやら高木も同じらしい。
「黒瀬さんと岩本くんは前で接近して「ひょっとこ」に攻撃、僕と高木さんで援護します。日田さんは周囲の警戒を」
(お……案外きっちりしてるやん。)
日田は指示を飛ばす口田を見て素直にそう思った。
「話は……終わったか……?」
「!」
地の底から響く様な、異様に低い声。「ひょっとこ」の物だ。
「万月様の命令だ………。貴様らを……殺す!!」
「ひょっとこ」が、跳んだ。
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