全国掃除店協会・本部・4
「ガブ」
その名前が世間一般に認知され始めたのは、ギタイの発生が確認されてから2、3年ほどたった時期だった。
大阪で最大手だった掃除店「竜玄屋」が、一夜にして壊滅に追い込まれた事があった。
そしてその事件に関与したとされるギタイ1体に事情聴取を行った所、その名前が、「ガブ」と言う名前が出たのだ。
「ガブ」と言うのは、ギタイのみで構成された秘密組織であり、活動理念は「人間の魂を浄化し、天に還す」……。つまり、ギタイは人間を食らう事で、食らった人間の魂を浄化することが出来る……と言うことだ。根も葉もない、どこからでっち上げられたかも知れない迷信である。
しかし、この理論を用いて、「ガブ」の構成員達は次々にギタイを集め、組織を拡大して行った。
自分の意思とは逆に「暴走」してしまい、初めて「人」を殺してしまった者………。そう言ったギタイを確実に見つけ、「人」を殺してしまった事に対する罪悪感や後悔で弱っている心の隙を付き、その「隙」に自分達の「理論」をねじ込む。すると、不思議な程簡単に、人を殺めたギタイは、それを信用し、行動するようになるらしい。
そして現在、「ガブ」は全国に数々の拠点を持つまでに成長し、凶悪なギタイを多数抱える一大組織になってしまった。
「掃除店」の最大の目標の1つに、その「ガブ」全てを掃討すると言うものもある。
つまり、小さな拠点の調査でも、そこにこれから「ガブ」を掃討していく中で役に立つ情報はあるかもしれない。決して、軽い気持ちでかかれる任務では、やはりない。
「構成員を見つけた場合、出来れば捕獲。難しそうであれば殺しても構いません」
五田が言う。
「………まぁ、口田隊の試運転……、と言う意味もありますので、それほど気負わずに、頑張って下さい」
そう言うと、五田は言うべき事はおしまいと言う風に手を縦に振り、退室を促した。
「あ……あの!」
「ん?」
会長室から出ると、口田が日田を呼び止めた。
「すいません……。僕の勝手な事情に巻き込んでしまって……。お忙しいでしょうに………」
口田は体を小さくして、顔をうつ向かせて、申し訳無さそうにそう言った。
「いや……、良いぜそんな事。俺らは普段から暇してるし、五田に減給くらって少しでも仕事が欲しいかった所だしな」
「そ、そうですか!良かったです………」
「ああ。お前も新人を引っ張って行くのは大変だと思うが、頑張れよ」
「はい!」
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