スカルヘッド4-5
スカルヘッドに一撃を加えた黒瀬は直ぐに後退して日田の横に戻ってきた。
「日田くん、何をボーッとしてるんですか。私達の戦い方は、日田君が至近距離から攻撃を仕掛けて注意を引いて隙を作り、そこを私が突いて致命傷を与える………と言うものです。」
「あ……ああ、すまん。」
「………いえ、私もよく考えてて見れば先走り過ぎだったかもしれません」
(先走り………、あれが、先走りなのか。「走り」と言う次元を越えてたと思うけど)
「それじゃあ……行くか、黒瀬」
「はい。今度はしっかりと………「隙」を突いて見せます」
そう言うと、黒瀬は日田の顔をジーッ……と、凝視した。
日田はその視線をヒシヒシと感じ、
(あぁ……、俺に「私は確実に隙を突けますから、そのためにもちゃんとあなたが「隙」を作って下さいね)言ってるな。凄い目してるよ………)
と、黒瀬の目から、正確に黒瀬の思いを受け取ったのだった。
(まぁ……いっちょ頑張りますか)
日田のレインコートの下の両腕が黒い液体で覆われ、固まり、崩れ落ちる。
その下から覗いたのは、ユッタリと流動し、所々表面が黒くなった、生々しく動くマグマだ。
尋常ではない熱量を持つそれだが、日田の来ているレインコートは、現時点でのギタイに対する日本の科学技術を結集し、作られた、日田専用のものである。
レインコートの上から見れば、その両腕がどうなっているかはわからない。
だが、スカルヘッドは確実に何かを感じとり、ゆっくりと立ち上がる。
その間に、スカルヘッドの纏う雰囲気が変わっていく。
(臨戦態勢に入ったか………)
日田は地面を蹴り、立ち上がったスカルヘッドに突撃する。
それを見たスカルヘッドは右腕を前に出し、30センチほどの鋭利に尖った骨を、大量に生成。スカルヘッドの右腕を中心にして生成された骨達は、まるで小魚の魚群のように、統制の取れた動きで一斉に日田に突撃する。
日田はそれを左に飛んで交わし、体勢を立て直して、再びスカルヘッドに向かって走る。
「………甘い!」
骨の魚群の一部が、群れから離脱、勢いを増して日田に飛来する。
それを日田は、右腕で叩き落とす。叩き「溶かす」。
「………!?何!?」
スカルヘッドは一瞬何が起こったか分からなかった。
(何だ……!?今、日田は……俺の骨を腕で叩いて防ぎやがった!?あのレインコートの下の腕……やはり何かある!!)
スカルヘッドは、日田の骨を叩き落とした腕を観察する。レインコートから少し出ている手首の辺りを注意深く見る。
(……何だ……赤黒い………?)
「日田君が何者か……分かりましたか?」
「!?」
スカルヘッドの後ろから、不意討ちにそんな言葉がかけられた。
「あの世でゆっくり……考えて下さい」
「……くそが!!」
やけに優しい声色のその声が、スカルヘッドには背中を撫でる死神の鎌の様な、冷たく命を拐っていく物と同じ様に思えた。
そして次の瞬間、スカルヘッドの上半身、胸の辺りに鋭い痛みが走った。
黒瀬の黒烏が、スカルヘッドの体を非情に切り裂いたのだ。
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