表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/108

第4章 孤高の女豹➄

「わたしの生い立ちを知ってるんならわかるでしょ。わたしには、祖国なんてものはない。祖国が、一体わたしに、何をしてくれたの」

 動揺するニコルに、ターニャは冷たく言い放った。

「軍人だったわたしの父は、反逆者の汚名を着せられて死刑になった。上官の汚職を告発しようとしてね。母は、幼かったわたしと妹を育てるだめに、娼婦に身を落とした。そして、客に殺された。わずかな金を惜しんだ客に。妹は、施設で虐待を受けて死んだ。そんな国を、どうして愛せる?」

 ターニャは、妹が死ぬと直ぐ施設を抜け出し、悪のグループの一員となった。

 そのグループは、バックにロシアンマフィアが付いており、武器が豊富に手に入ったため、やりたい放題だった。

 その中で、ターニャは銃の扱い方を覚えた。

 元々素質があったのか、めきめきと腕を上げ、気が付くと、グループの中でもピカ一の腕前になっていた。

 度胸もあり、命知らずでもあってので、ナイフや素手の喧嘩でも、男相手にひけを取ることはなかった。

 狂犬のターニャ。

 そう呼ばれて、グループ内でも一目置かれる存在になっていた。

 ある日、グループの一人がへまをして、警官隊と撃ち合いになった。

 グループのメンバーは五人、警官隊は二十人。

 ターニャを除く四人は、警官隊にハチの巣にされたが、ターニャは警官隊を全滅させ、その場から逃れ去った。

 指名手配されたターニャを見つけ出したたのは、警察ではなく、今の組織だった。

 組織は、ターニャのような戦闘力のある人材を求めていた。

 政府に手を回して、指名手配を取り消させ、犯罪歴も全て封印した。

 そして、ターニャを組織へ引き入れた。

 組織は、ありとあらゆる殺人技を、ターニャに叩き込んだ。

 そればかりではなく、敵地への潜入方法や離脱術、語学や薬学や爆弾のことなど、あらゆるジャンルにおいて、ターニャを徹底的に仕込んだ。

 ターニャは、それらの全てを、砂に水が沁み込むように吸収していった。

 五年も経った頃、ターニャは最強の殺人マシーンに仕上がっていた。

 その頃、ターニャの母親を殺した男が刑務所を出所した。

 その男は、出所後間もなく、無残な惨殺体で発見された。

 父親が汚職を告発しようとしていた上官は、家族もとろも、自宅で殺害された。

 その中には、娘夫婦と、まだ幼い孫までも含まれていた。

 上官とグルになっていた数人の軍人も、同じように家族もろとも自宅で殺害された。

 そして、妹が死んだ当時の施設の職員も、皆殺しにされている。

 いずれも、何ひとつ痕跡が残っておらず、迷宮入りの状態となっている。

 しかし、組織はターニャの仕業と断定した。

 だが、その鮮やかな手並みに満足したのみで、ターニャを咎めることはなかった。

 ターニャを発掘し、鍛えたのは、他ならぬニコルだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ