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人の夢

「ぷはーっ!溺れ死ぬ所だった!」

「本当に後少し遅かったら死んでましたね……」


インシャとリーニンがルアを追って辿り着いた場所は、薄暗い研究所の様な所だった。



「インシャ!リーニンお姉ちゃん!」

「お、大丈夫か?ルア?」

「ルアちゃんが大丈夫なら、ここにはもう用はありません!さっさととんずらして…」



「とんずら……なんてさせる理由無いだろう?」

巨大な円錐状の装置の上からエレベーターが降りてきて、そこには是政が乗っていた。


「是政……なんでルアを狙うんだ!この子にはお前の求めるものは刀しかないぞ!刀なら渡す!だけどなんでルアを狙ったんだ!」

「そうですよ!ルアちゃんに手は出させません!」


「そうか…………ならしっかり守ってないと駄目だろう?」

いつの間にか背後に是政が立っており、ルアの背中を掴んで再び二人から離れた。


「ルア!」

「ルアちゃん!」


「君たちには少しこいつらに相手をさせてやる……スカル!」


無数の骸骨が魔法陣から現れ、リーニンとインシャに襲いかかる。



「何でこんな事するの!?人に酷いことをするのはダメなんだよ!」

「ほう……まだ自分を人間だと思ってたのか?死人風情が。」



「え。」

























「今……なんて言ったんですか?」

「死人って……」


「あぁ、コイツが知らないならお前らも当然知らないよな。なら見せてやる……コイツの正体を!」


是政が強引にルアの髪の毛を引っ張り、そのアホ毛を引きちぎり、中からメダルを抜き取ると、雑に放り投げた。

「ルアちゃん!」

「リーニン……私…どうなってるの?何か身体が軽いんだよ…………」



「死ぬのが怖いのか?」

「死ぬのが怖くないわけ無いだろ!!スパーク!」

インシャが電撃を是政に向けて撃ったが、是政が先ほど抜き取ったメダルを向けると、電撃は瞬く間に分解され、消滅してしまった。




「ルアちゃん……貴方は何者なんですか?教えてください……」

「分からないよ………何で自分の身体がここまで軽くなってるのか分からないよ………あ。」


ルアの足がポロポロと崩れて、空へ舞っていってしまう。

「待って!消えないで!戻ってきて!」


「もうなくなってるんだ。一度帰って来ただけ有難いと思っとけ。」

「なぁ是政……ルアって何者なんだ?……答えろ!」


「よし教えてやろう。そこのルアと言う奴は。既に死んださ。」





















むかし、なんにでもないふつうのかていに ひとりのおんなのこが うまれました。

おんなのこは、とくにとくべつなちからはもっていません。まほうもつかえなければ、なにかのうりょくをもっているわけでも、くろーんでもありません。



あるひのことです。おんなのこはとつぜん、きょだいなかいぶつにおそわれてしまいました。

おんなのこはかいぶつにころされて、くびをのこしてしょうめつしてしまいました。しかし、うんのわるいことに、くびがのこっていたため、かろうじていしきがあるじょうたいになってしまいます。



その事を受け入れられなかった両親は、藁にも縋る思いで、世界を旅し、女の子を助ける方法を探しました。そして、ある一人の錬金術師に会いました。

その人は、他の人の寿命を使えばその子を蘇らせれると言うと、両親は迷わず自分達の命を差し出し、その場で死んでしまいました。



けれども、蘇らせる方法は極めて残酷でした。

両親の命をツギハギに魔法で錬成してくっつけ、生首に合うように身体を作っていきます。


だけど、女の子はぴくりとも動きません。

とうとう限界が来てしまったのです。錬金術師は、どうせ死体になっちゃったけど、折角ここまでやったなら勿体無いと、うろ覚えの記憶で女の子の人格を再現し、足りない部分を魔法のメダルで補うことに。


でも、当時はメダルが貴重だったものだから、こんな見ず知らずの女の子に使うほど余裕はありません。

そこで、錬金術師は管理を任されていた新型。メダルであってメダルでない、ギジメダルを使って、足りない人格を、



錬(・)成(・)してしまいました。







「そう、つまりお前は……錬金術によって強引に死んだ人間を蘇らせた………いや、お前は蘇ってない。死んだ人間の死体を使って作られたメダルのキメラだな。」



「でさ、そのメダルが必要になったんだよね。あの野郎、勝手なことしてくれたな……お陰で大変だったから、知り合いに頼んで君に外国にある二つのメダルを東京に持ってきて貰おうとしたの。だからさ、分かるかな?僕はこれを返してもらっただけなの。だってこれ作ったの僕だし。」

是政は、不気味な笑顔でそう言った。




「お前に……人の心はないのかよ!」

「そいつは人じゃないよ、物を壊しただけだろう?」




ルアは、メダルが抜かれたことにより消えていく身体に絶望していた。最早、言葉を発することもなく、ただボロボロと泣き続けていた。


「ルアちゃん……私に出来ることがあったら言ってください。何でもやってあげますから………」


「ありがとう、リーニンお姉ちゃん。でもいいの。もう……本当にやりたいこと出来ないから。」


「ルアちゃん………」


「是政がやろうとしてる事を止めて。それでもう、私は満足だから…………。」



とうとうルアの身体は完全に塵となり、空へと消えていってしまった。






「さようなら、ルアちゃん。家族の元で……幸せに過ごしててください………。」

リーニンは泣きそうになるのを強引に抑え、杖に魔力を込めた。



「是政ァァァァァッッ!!!!!」



「おーい、何をそんなにムキになってるんだい?物が壊れただけだろ?あ、代わりが欲しいの?じゃあ錬金術でクローンを作る?」

「お前は……もう口を開くな!!」

インシャが杖に電撃を纏わせ、骸骨を薙ぎ払いながら是政に攻撃を加える。



「はいはい、もうここ必要ないからいいよ。テレポート!」

是政が巨大装置に戻ると、内部にハマる3つのメダルの残り一つ……ルアを形成していた、グールのメダルがハマったことにより、とうとう3つのメダルが全てハマった。


「起動せよ!そして我が夢を叶えろ!デストロイヤー!」



『スカル!ヘルハウンド!グール!』


『認証(リード)!!』




円錐状の装置が遂に外へ現れた。


全高110メートル、巨大な悪魔のような翼が付いており、四つのエンジンで空を舞う空中要塞。

その名も破壊者の剣(デストロイヤー)。


最終兵器、起動ーーーー

グール

人に化けて、人間の子供を食べる女の幽霊。

かつてルアを襲った怪物は、このグールの同種である。

グールは弱かったけど、数はいたので封印ができず、唯一残った魔物となった。

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