8『しとかれもこっち』
じーっと石碑を見て
同じく石碑を見ていたシャードさんを見下ろして。
こっちを見て欲しくって、頬にちゅーっとすると正気になったシャードさんがハッとして身体を起こした。
「いや、先にやることがあるだろ!?」
その目からはすっかり情欲は消えていた。
ちっ。
石碑に触れると…
-ワープポイントの初期登録をしました
-どこに飛びますか?(500銅貨)
-ライト村
-ナオタウン
-中央王都1門
-中央王都2門
-中央王都3門
-
-
うそ…だろ…ワープポイントが登録されただと…
それ自体も私の知らない異常事態なのに
-サブクエスト
-ごめん、許して無視しないで。もうしないからさ、お願い 魂の欠片x1納品
………とりあえず許さないので石碑を閉じると、シャードさんも石碑を開いたまま何かを考え込んでいた。
「どうかましたか?」
「いや…変なクエストが出てて…」
「絶対やらないで!なんて書いてありますか!!」
「『君もこちら側にならないか』って言うサブクエストが…」
「無視で良いです無視で。それがヤバいやつです」
「あ、ああ…」
あいつ、シャードさんにも手を出し始めたか。
ぷんぷん怒りながらシャードさんの手を引っ張って石碑から引き離して、ガチャマシンの方に行く。
ガチャマシン。と言っても日本の可愛らしいものではなくて……どちらかと言うと自動販売機サイズの1000円ガチャに近いものを感じる。
「これが?」
「はい。これが魂の欠片を100個集めたら装備を出せるようになるガチャです」
その表面に触れるとブゥンと電子音が聞こえてマシンが起動した。
『まってまってぇー』
すると上からぼたっと白スライムが落ちてきた。
シャードさんが咄嗟に私を庇って後ろに下がる。
『きいてよしとー、しとかれー、かみさまひどいんだよー。このままじゃぼくのおうち、たいへんだからってかってにかいぞうされたのー』
白スライムは身体からトゲトゲをだしておこっている。そらそうだ、自分の縄張りを勝手に弄られたら怒りもする。スライムの気持ち、分かりみしかない。私も勝手に改造されかけたから。
『いっこめはせきひをよんこおくんだってー、にゅうじょうけんいらなくなっちゃうのに、もー!』
「勝手にするなんて酷すぎますよね」
『ほんとーだよ!まだひとがきてないいまならまにあうって!ひどい、ひどいの!でもしとこれつかっていっぱいあそびにきてねー。しとかれもー』
「…あ、ああ」
コミュ強スライムに警戒中のシャードさんもたじたじだ。可愛いものと可愛いものでとても可愛い。
『しとかれも、ぼくたちといっしょだって!ぼくのほーがおにーさん!いっぱいたよってね。ぼくがんばる』
「……待ってください、使徒彼も一緒ってどういうことですか」
『え?そのほうがしとがよろこぶから、しとかれもこっちにするからよろしくねってかみさまがいってたよ』
シャードさんを完璧に巻き込んだ事実と、なんでも勝手に行う神様への怒りに…目の前が真っ赤になる。
怒りに震えていると、シャードさんが宥めるようにポンポンと背中を軽く叩いてくれた。
「それはまあ置いといていいよ。追加って他にもあるのかい。さっき1つ目と言っていたが」
『あ、うん。そーそーちょっとまってねえ』
白スライムがぴょんぴょんとガチャマシンの上で数度跳ねると……ブゥンとガチャマシンが再起動した。
『ぼくのおうちげんていのおくすり!できたの!せきひのせいでご飯少なくなっちゃうからかってねえ?』
買って買ってとぴょんぴょん跳ねてから……白スライムは色々ととんでもない暴露をしてふっと消えた。




