6『ゴミ捨て場みたい』
「うわぁ……」
ボスである女神がいるエリアはゲーム内では珊瑚が美しい、海底神殿だった。
それはこの世界でも……珊瑚は美しかったが……
「これは酷い」
「大事に扱わないのもどうかと思うけどね」
「というかまあるでゴミ捨て場みたいに見えるな」
『一応大事にはしているそうですよ?小箱を奪ったものは殺してでも取り返せと命令を受けていますので』
その珊瑚を覆い尽くす小箱、小箱、小箱、小箱。
護衛さんに話は聞いていたものの………なるほど、これは……ゴミ集積場の中を覗いたような気分だ。
というかダンボールが積まれた出荷場?どちらにせよいい場所ではない。
数万…数十万?いや、数百万かもしれない箱の山は……最早歩くスペースは無かった。
くじらに乗っていなければ私達もどこを歩けばいいのか困っただろう。
「……僕たちじゃあここ、下歩けないね」
『…私たちは泳ぎが主流なので、地面に置いていってしまった結果がこちらです』
種族特性ではその方がいいのかもしれないけれど……宙を泳ぐをイメージしたモンスター達はみな一様に辛そうな表情をしていた。多分デバフの影響を受けているのだろう。
『くれぐれも座席に張られた結界からお出にならないように。エリア全体にも、要所要所にも結界は張っておりますが慣れぬものには命の危険があるやもしれないので』
護衛さんは『多分この箱が原因じゃないか』と言ったけれど
私にはわかる。原因は間違いなくこの箱だ。だって……
ピシッ……ピシッ……
箱に共鳴するかのように……インベントリに同じものがあるせいか、私のインベントリから異音が感じ取れるのだ。
そう、これはゴーレムさんに運搬を頼まれた『女神の指輪』である。
数百万?の指輪のせいで……この空間は容量過多で重くなったのだろう。つまりあれだ、ラグいのだ。
ボタンを押しても反応が数秒後に来る……ゲームとかで電波障害や容量過多で起きるタイムラグにそっくりだ。
まさか生身でラグを感じることになるとは思いも寄らなかったけれど…あの神は容量が足りないとかよく言っていたのでリアルでタイムラグが起きても不思議じゃないと思う。
「はぐれて困った時はその結界を目指せばいいのか?」
『…はい。それはまあそうなのですが私の結界は破壊されないよう色々と隠蔽工作をしてあるのでお気づきになられるかどうか…全部で15個あるうちわかりやすい場所をお教えしますね』
15。護衛さんの数字に心当たりがあって……眼前の箱に埋もれた石像の右手を指さす。
「…女神像の右手にある2番目の柱の中腹?」
『……なぜご存知なのですか?』
「……あと通り過ぎた出入口の石碑に1個と…ここから近いのだとあそこの赤と青の珊瑚の真ん中辺り?」
『……』
護衛さんが黙りこくったのが、正解の証だろうか。
私が指摘した場所は……全てが300レベルあるボスたちを弱体化するギミックの場所だった。
いやこう考えると逆か。弱体化ではなく…ギミック…結界術で強化されていたんだ。それを解除したからまともに戦える難易度まで落ちたのだろう。今更知る事実である。その事実をこうだったんだね!と語り合える仲間たちはもういないけれど。
「…とりあえずいすずにはわかるなら最悪の場合はいすずに先導を頼むしかないね」
『…そんな状況、無いのを祈りますが』
「感知の性能と…『女神の指輪』を所持している関係で私が1番影響を受けると思いますからね」
安全地帯がわかる人物が一番デバフを食らう。
それはもう案内できる所の話じゃないだろう。
そう思って笑ったつもりだったが、全員の表情がキュッとしまった。




