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ワールド★スター『神様が再現失敗した世界の立て直し』  作者: 海華
鉱山採掘

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5『打ち消して進みます』


パチッと唐突に目が覚める。


「……戻れた…」


寝ていただけなのに……妙な言葉が口に出たが、私の感覚はまさしく『戻れた』という感じだった。

あの楽しくて、輝いていた過去の実写風景は……戻りたくないと感じるほど魅惑的だった。


目が覚めて、現実に戻ってこれて安堵するのに

戻れたことを残念に思う私もたしかに存在する。


「おはよういすず」


「おはようございますシャードさん」


そんな自分をうち払って、隣の部屋からこちらを覗き込んだシャードさんに手を振る。

時計を見ると……私が休んでから然程時間が経っていなかった。

夢の中では1週間程過ごしていたから、その時間差に少しクラっとするけれど1週間も寝込んでいたら大問題だ。


「いすず起きれるかい?どうやら海中エリアの主からお迎えが来たよ」


「え、起きれます。お待たせしましたかね?」



「30分くらいだよ。その間僕らで彼らの事情は聞いておいたよ」


「ありがとうございます。この気持ち悪い現象についてって聞けましたか?」


「……うん。簡潔に言うと、女神のコレクションでこうなってるらしい」


「……コレクション?」


シャードさんから聞いた話によると女神は宝物を溜め込んでおり、初めは問題なかったそうなのだけれど……数百年かけて溜まった言った結果、ボスエリアを中心に認識と行動がズレる現象が起きているらしい。


今私たちがいるここは、感知ステータスが高い人が気になる程度でマシらしいが……女神の居る神殿は正に地獄絵図となっているそうだ。


「彼いわく、右手を動かしたとして実際に動くのは30分後くらいになるそうだよ」


「……ここで影響を既に受けている私が神殿に行っても大丈夫なんでしょうか」


「策はあるそうだよ」


身支度を整えて扉の外に出ると……

そこには夢で見た姿と全く同じ姿の女神の護衛が、好意的な笑顔を浮かべて『はじめまして使徒様』と言って頭を下げた。


夢の中で、先程まで戦っていた相手

敵意むき出しで、殺し合いをしていた相手


あれが実際にあったのはゲームの中の話で、彼にそっくりな姿の出来事は夢だって言うのに……現実と夢が混ざってめまいがする。


『使徒様!?如何されましたか!?』


違う。

私の知るこのモンスターは、無情なまでの防御力で一切攻撃が通用しないで、その特性を利用して一方的に虐殺をーーーーー「いすず!」


思考が混濁しているとシャードさんに軽く頬を叩かれてハッとする。

そうだ、あれは夢だ。


全部全部、夢だ。


「大丈夫なの?」


「……シャード、さん」


「うん」


「……タイラさん、雷帝…ハコさん、ベル、タラちゃん」


「大丈夫か?」

『もう少しお休みしますか?』

『無理しない方がいいぞ主人』

『大丈夫?』

『休んで休んでー!』



仲間たちの名を呼んで

みんなが心配そうにしながらも返事を返してくれて


どんどん思考がクリアになっていく。


うん、あれは夢。


寝ぼけているにしては…異常な事態だと思いつつも、改めて女神の護衛さんを見ても今度は夢と情報が入り混ざらなかった。


「もう大丈夫です。すみません、変な様子をお見せしまして」


『いえ、こちらこそ迎えが遅くなって申し訳ありません』


ちゃんと起きてたつもりだったけどまだ寝ぼけてたのかな。

夢の中の殺意全開な姿とは違い……護衛さんはこんなにも優しそうなのに。

好意があるということを表情、仕草、声音ではっきり示してくれる見えている表皮に鱗をつけた護衛さん。

鱗といえばシャードさんだけれど、不思議と彼は魚の血統だなとわかるのは……掌に水掻きや、耳の後にヒレが見えるからだろうか?


『ここより先はとある事情によりフィールド全体にデバフがかかるようになっています。私の結界術でそれらを打ち消して進みますのでこの子の背に乗って頂けるでしょうか?』


護衛の彼がそういうと、それまで後ろで背景になっていた大きなクジラが「ほぉぉぉ〜」と自己主張するように大きな声で鳴いた。その背には、ゲーム内でも護衛の彼が立っていた操縦席が……ゲームよりも大きく、多数の人物が座れるように設置されていた。


自分以外の乗り物に乗る、という事実にハコさんが悔しそうにしていて可愛いのをなだめてみんなで巨大なクジラの背に飛び乗る。

1階建て住宅の屋根くらい高さがあるけれど、軽々と飛んで乗れるあたり……現実から考えるととんでもない身体能力だなと一瞬だけ思って……その思考はスっと消えていった。






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