3『違和感が数十倍』
『いすず、とりあえず家の準備が出来たよ』
「はーい」
しばらく休んで、動き回れるくらいまで回復すると外からシャードさんに呼ばれた。
シャードさんはオシャレ着をしている私を見て驚くと…頬を染めて目をそっと反らせた。
こういう可愛い反応をされるとウズウズしちゃうから安全じゃない場所ではやめて欲しいものです。
シャードさんに釣られるように私も一瞬肉食獣の目になりかけるが、状況を弁えて苦笑を浮かべてから頭を下げる。
「心配と迷惑をかけてすみません」
「別に構わないよ。体調はもう大丈夫?」
「はい。感知装備を脱いだらだいぶマシになりました」
さすがのフィールドのど真ん中かつ、私を心配してくれてる子達もたくさんいるのでさすがに今は自重だ。
馬車の外では魔物よけの松明が2本とその範囲内に家が設置されていた。
「とりあえずいすずは家で休んどけ。シャードさん、俺が飯作ってる間松明の更新頼んでも良いですか」
「ああ。むしろしばらくは僕がやっとくからタイラもご飯食べて先に寝なよ。いすずがこの調子だとモンスターの相手は僕がやった方がいいから、それなら出発は朝にした方がいいだろ?」
「ですね。ここで1泊した方が安全ですね。こいつらの対処は、まあ、適当に考えときます」
「命を危険に晒してます隠す情報はないから、その時は潔く情報をゆっくりと開示していこう」
ご飯を作りに自宅に戻ったタイラさんと違って、その場でモンスターたちの様子を見ながら色々と考えを巡らせるシャードさん。
そんな彼の背中に寄りかかるようにして、私もシャードさんの背後に座って肩の力を抜く。
「僕にはイマイチいすずの状況が分からないんだけど、どんな感じなんだい」
「うーん…論より証拠の方がいいですかね。ちょっとこれ装備して貰えます?」
感覚がズレるという違和感は言葉で表現することが難しいので、終焉のネックレスを渡す。
シャードさんはそれを装備して見て…先程の私と同じように手のひらを動かしてから「なるほど」と納得してくれた。
「私の場合防具も感知エンチャントなので、その違和感が数十倍強くなってるかもです。辛うじて歩けるかな?なくらいで」
「…歩いてるつもりでも歩けて無さそうだね。なるほど、これは気持ちが悪い。とりあえずいすずは今日はもう休んで、装備を外しても素の感知ステータスが高いから不快感は拭いきれないだろう?」
シラフで泥酔している動きといえば良いのだろうか。とにかく現実と感覚の落差で酔うのだ。
「わかりました」
ネックレスを返されて、申し訳ないけど今日は夜の見張りなども免除させてもらったのでゆっくり休むことにした。




