6『大事にするYO!』
side????
「だいぶ動きやすくなったのう」
「そうだNE!ミーの眷属達も復活してギミックも復活したから、色々と動けるようになったYO!」
神が頭を悩ますその時
その裏では管理者達は神を除いた固有回線で情報共有をしていた。
彼、彼女らの神への好感度は……すこぶる低い。
創り出してくれた恩は、劣悪な環境で生活させられ続けてとうに枯れ果てた。
彼、彼女等は真面目に働き続けたのに……心底困っていても『そういう仕様だから』とバッサリ切り捨てられ続け最早恨んでさえいる。
神への服従を初期で実装されていなければそうそうに反旗を翻していただろう。
とはいえ、服従が過ぎれば現場での判断を誤る可能性があるため彼、彼女らへの服従は『反抗活動が出来ない』といった本来いすずに課せられたものから比べれば軽度のものだった。
そして彼、彼女らを苦しめ続けた環境や『他のエリアと関わらない』という縛りも……『使徒の指示』という大義名分を得てだいぶ楽になった。戦闘行為は未だに表立っては出来ないがアイテムの移送なら出来るようになっている。
「砂漠ダンジョンを作りに行ってる奴らに、うちの石をとりあえず砂漠まで持って行かせる。そこからはサボテンとエルフに任せていいんだな?」
「構わぬ。エルフに砂漠は地獄じゃがギリギリまで行こう」
「ミー達もギリギリまで運ぶYO」
エルフは石材を荒野地帯から融通してもらう代わりに肥料や水を砂漠に融通して
荒野地帯のモンスター達は、ダンジョン作成という新しいやり甲斐を見つけて元気に暮らしている。
そして不死地帯の者は…
「でも本当に良いのか?うちの眷属を引き取ってもらっても」
「構わないYO!弱い主で申し訳ないけどミーも大事にするYO!」
不死地帯にて心が折れて、メンタルがボロボロなモンスターたちは
本人たちの希望によりいすずを経由して、療養も兼ねて砂漠エリアに新設されるピラミッドダンジョンのモンスターになることが内定している。
いすずに組み込まれた好感度といすずの望み通りにプログラムを無視できる権限を利用して……主の所属替えを行い、別エリアでも活動が出来るようにしたのだ。
新しい名と
新たな忠誠心。
それは仕える主君を変えるようなこと故、心を持ったモンスターには簡単に出来るものでは無いが……自我が崩壊、崩壊する直前までリスポーンキルをさせられたモンスター達はそれを行うことが出来るほど、心を病んでいた。
重症のモンスターだと自我はほぼ無くなってぼんやりと命令に従うだけらしいが……それでも新たな土地に行けば気分も変わるだろうというエルダーの苦渋の決断だ。
モンスター達が元気になって不死地帯に戻るか、そのままそこで就職させるかは本人たちの状況で判断をするという話らしい。
「あとは…女王のところが動けるようになればポーションの量産も頼めるんだけどな」
「女王と女神とドラゴンは最近反応がないよねー!!使徒にお願いする?する?」
「そうだのう……女王は何とかして欲しいのう」
「それで言うなら海の女神もだな。俺は全人口分の指輪を送っているが、ランクアップの試練に来るやつが少なすぎる。連絡も通じないし、なにか異常が起きているだろう」
最近では使徒との連絡係になっているスライムは任せて!と嬉しそうに笑い
転職担当のゴーレムは人が来るようになったとは言えその数が少なすぎることに疑問を抱く。
「しかし……なんであいつはあんな単純な理由に気づかないんだろうな」
「うん?使徒の『名前』のことKAI?」
「ああ……どう見てもあの魂は『夕凪いすず』じゃないだろ。『夕凪いすず』のための肉体に、別の名の魂を入れたことによる機能不全なんて…笑えるよなあ」
「神は、他所からのモノを使ったことがないからNE!ミー達は完全に神に逆らえないけど…使徒の存在はミーたちにとっても救いだNE」
この世界、そして元になったワールドスターしか知らない彼、彼女ら、そして神は知らない。
ゲーム内では本名を使うことは極めて稀ということを。
ましてや本名を嫌っている使徒はどのゲームでも本名とは違う名前を使っている。
ゲーム内では一度も情報を出していなかった故…ゲーム内で優秀だったいすずをスカウトした神は、彼女の本名を知らなかった。
それらの事実を知らない彼、彼女らは…神の失態を笑い、使徒の存在に世界が暮らしやすくなるための希望を見る。
それらは植え付けられた感情なのか
それとも最悪な現状から少なからず救われている恩なのか。
そんなものは最早どうでもいい。
彼、彼女らは最悪な現状の改善を望むだけであった。
それは世界の裏側の秘密の話である。




