5『原作を改悪するな』
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いすずが色々と修正をしながら強化する傍ら、それを見て髪を掻きむしる一柱の神がいた。
「あああああ、くそ!くそ!ワルスタにはピラミッドなんてなかったじゃないか!原作を改悪するな!せっかく僕が調整に調整を重ねて完璧な世界を用意してやったのに…!」
建造された立派な噴水形ピラミッドを映し出した画面に苛立ち、机を殴るのは……シャード達の世界を創り上げた創世神。
「くそ、なんでだ…なんで権限が機能しないんだ…あいつの肉体には最高の権能を備えさせた分、他の奴らとは比べ物にならない程の僕への絶対服従を入れておいたのに…!」
世界のバランスを整え直すという使命を円滑に遂行できるように夕凪いすずの肉体は、貴重な……それこそエリアボスよりも多くのリソースを注ぎ込んで創り上げられた。
管理者達のネットワークの使用権限
必要ないプログラムの廃棄権限
管理者達が敵対しない権限
管理者たちへの指示権限
育成効率強化権限
神への絶対服従
etc…
だが、何故か絶対服従とネットワーク使用と育成効率強化が正常に機能していない。
エリアボス達がその気になれば未成熟のいすずがサクッと殺されてしまう可能性があったので…そうすれば多大なリソースが無駄になったので、非敵対権限が発動したことは、神はありがたいと思っていた。だが…命令を聞かず、指示も届かず、いすずは自分の思うがままに勝手な改善をしていた。
それは原作改悪であり神の中では許されるものでは無かった。
たとえその仕様の結果苦しむ者が居たとしても…原作は遵守するものと、神は思っていたのだ。
「追加プログラムもほぼ全て放置されてるし…くそ、あの追加クエストにどんだけリソースを注ぎ込んだと思ってるんだ」
そしていすずが洗脳と言っていた…追加プログラム。
それは絶対服従を含めた権能の使用を再設定するものであった。
少しづつ徐々に追加していく予定だったが…バレて避けられだした段階で、1回でもクエストクリアすれば完全インストールが完了する大容量タイプのクエストに変えたが……それらはことごとく無視されて、ただ無駄にリソースを使っただけのものとなった。
その上レベルが上がったことで少しだけインストールされた追加プログラムの効果はほぼ無くなった。
このままでは……最悪…改悪だけにとどまらずいすずに取って都合の悪いプログラムは消される。そしてその削除対象には自分もいることを神は薄々察している。
いすずの権限は、いすず自身に対するものは発動しないが……同じ管理者達に対するものは発動できている。
だからプログラム廃棄権限も使用可能だ。プログラムの廃棄とは仕様変更だけじゃない。都合の悪い存在の処分も彼女にとっては可能なのだ。
彼女はこの世界で唯一自分を殺せる存在だと、神は理解していた。
「くそ、だからといってあいつを消してしまえば…表に出れない僕じゃ世界の改変が出来なくて世界が崩壊する。でも野放しにも出来ない」
だがそれと同時に表の世界で積極的に活動できる、世界が潰れないための重要なキーパーソンであることも理解していた。
彼女を世界に投入した効果はとても出ている。
人間たちは次のステップに進み、各地の問題も解決している。
なので……いすずに対しては高すぎるリソースを払っているため絶対服従をインストールさせるか、世界が安定してからの消去が最適解。
だが、世界の安定を待ったら……自分より強くなってしまうかもしれないというジレンマ。
「どうにか、あいつを取り込む方法は…」
いすずへの直インストールは失敗。
恋人の取り込みも失敗している。
中央……繋がりが薄いが自分の眷属に連なる末端を使ってみたがそれすらもあっさり返り討ちにされて手駒が減る始末。
まだ直系は残っているが、人間たちの運営に支障が出る可能性があることを考えるとあいつらはあまり使いたくない。
使用できる余剰リソースはあとわずか。
使用できるコマもあとわずか。
エリアボスも下手にぶつけて消されてしまえば取り返しのつかないことになるから使えない。
そもそも表立って対立を命じても、いすずにはその命令を破棄させることも出来るから成功する可能性など万が一にもないだろう。
どうすれば、どうすれば……なんで。
なんであいつの絶対服従が発動しないのだ!!
神は今日も怒りながら、いすずの対策を講じるのであった。




