13『どうぞ?』
sideルイス
「……なんだ、ありゃ…」
「足で攻撃した…?」
銃弾を1発も使わない勝利に観客席がざわめく。
こちら側も、向こう側もだ。
そんな中、当事者は……
「武器を持っていないことで侮りましたね?あと私が急接近したことに対する判断が遅いです」
笑顔で明らかに怒っていた。
「…え?あ、ええ?」
対するトーレンは未だに状況が把握しきれてないのか酷く混乱していて、いすずが銃をしまっても、審判に腕を治療されても…混乱していた。
「い、今のはなんだ?」
「次、俺!俺がやりたい!!」
「……どうぞ?」
いすずVS重剣士
次に手を挙げたのは……個人戦で上位を毎年取っている大盾と剣を持ったトーマスだった。普段はタンクとして盾を構えているがあいつは対人時は器用に左手に盾、右手に剣を使っているバランスタイプだった。さらには耐久系にもスキルを振っており、その分スキルポイントがカツカツで、スキルは戦闘系しか取っていないと聞いたことがある。
明らかに消化不良な様子を見せたいすずは続戦を了承し、トーレンが観客席に連れられて…トーマスがフィールドに降り立つ。
対するいすずはまたしても素手だが…今度はトーマスも油断はしていない。
「勝利条件などは先程と同じで構いませんね?」
「構わない」
「大丈夫でーす」
「では準備はよろしいですね?」
「構わん」
「はーい」
今度はいすずの素手をもう誰も気にしてなかった。
「試合開始!」
勝負が始まった。
トーマスは盾を構えてトーレンと同じくいすずに向かって駆け出した。
ただ先程のトーマスと違い右手の剣はいつでも切りつけられる状態だ。
対していすずは今回は動かず、銃も出さずトーマスを迎え撃つようだ。
「『シールドバッシュ』」
いすずが動く様子を見せないからか、トーマスはシールドバッシュで加速していすずに急接近をしてーーーーいすずは迫ってきた盾の上部に手を伸ばした。
手が当たるとシールドバッシュが発動してその衝撃でいすずが上に飛ばされ…いや違うな、いすずは衝撃を利用してわざと飛んだんだ。
盾を掴み、下半身を飛ばしてーーーそのままくるっと一回転してトーマスの背中を蹴り飛ばすと、トーマスは勢いのままずさっと前方方向に倒れ込んだ。
「勝負あり!!」
そしてその背中にサッと取り出した銃口が突きつけられて、また勝負が決まった。
「重すぎだし勢いがつきすぎです。そんな勢いできたら背後から軽く攻撃されただけで体制を崩すに決まってるじゃないですか」
またしても1発も撃たずに勝ちやがった。
しかもまたしても1分もかかっていない。
そのあまりの鮮やかな手腕にまたしても誰もが呆然とすると……さらに「はいはい!」「はい!」と元気よくトーレン陣営のやつが手を挙げている。
いすずVS賢者
遠距離同士なせいなのかいすずは初めっから武器を持っていた。
賢者は初手にマジックバリアを張ったが、いすずは駆け寄りながらトリプルショットでバリアを撃ち飛ばして…再度マジックバリアを張ったものの、それも即座に『シューティングスター』で撃ち飛ばされて…接近したいすずに銃口を頭に突きつけられて終わった。
「…せめて移動しながらスキルを使いましょうよ」とつめたく言われていた。
その後もトーレンが連れてきた対人勢は尽く瞬殺され、倒す度に不機嫌になっていったいすずは最終的に恐ろしいほど不機嫌になって、トーレン陣営の応援席に乗り込んで説教を始めた。
何故こうなったのだろうか。
…それは誰にもわからない。
「あの、ふざけてますか?鍛錬不足、判断力不足、柔軟な思考、何をとっても不適格、むしろ今まで何をしていたんですか?向上心を持たねばレベルが上がっても何の意味もない。戦いたいと言われてすごく楽しみにしてきたんですが?」
そう淡々と吠える1人の女性。
彼女の前には数人の男性が正座をしてうなだれていた。




