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ワールド★スター『神様が再現失敗した世界の立て直し』  作者: 海華
鉱山採掘

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6『ぬしが壊されたら、使徒にも影響がでよう』


「ほら、着替えて前においで。僕にもいすずを抱きしめさせてよ」


甘えるようなすごく優しい声で言われて、渋々手を離す。

シャードさんは振り向いて私の涙をぺろっと舐めてから…寝室に連れてってパジャマを渡してくる。


2人ともパジャマに着替えると…ほら、と言ってシャードさんがベッドに腰掛けて手を広げた。


少し躊躇っていると待ちきれないのか手を引かれて…そのままぎゅっと抱きしめられる。


「……っ、ふ…」


「ああ、消音も起動したから泣いていいよ」


みっともなく声はあげたくなくって、シャードさんの肩に顔を埋めて

すがりついて声を殺して泣きじゃくる。


ここまで泣いたのはいつぶりだろうか。


子供の時でもここまで泣かなかったような気がする。


「痛いとか辛いって訳じゃないんだね」


ただただシャードさんが優しくて。

……泣きながら頷いて、背中を優しく撫でられて。


「こ、わかった……」


「シャリア殿が?」


「……ちが…」


頭をぎゅーっと肩に押し付けるように抱きしめられて、すごくすごく安心する。



「…死んじゃった、かと、思っ…」


シャードさんが生きている、その事実に。

連れていかれたと聞いて

居なくなったと聞いて


あんな、私以外にはとても怖い場所に1人さらわれたと聞いて



すごく、すごく怖かったんだ。


「…そうだね、さすがの僕もあれは死ぬかと思ったよ。前に勝手に居なくなったことを怒ったけれどあれは僕たちでは抗えないね」


優しい声で、優しい温もりで

とても優しい、私に甘い人に慰められる。


「…強くなろう、いすず。僕たちも力をつけよう……僕も君を守るために強くなりたい。あんな君の姿を見るのは、もう懲り懲りだよ…」


甘えた声で、甘えられて私からも慰め返す。


泣いて、泣いて、泣いて


色々と疲れていたこともあって、

泣いたまま

シャードさんに抱かれたまま


私はそのまま寝落ちして行った。




sideシャード


『世界の管理者は全て神の管理に置かれ逆らうことはできぬ……じゃが、使徒は何をしたのかあやつの管理下に無くてのう。世界を救うも、滅ぼすも使徒の自由じゃ。じゃが、管理者側登録をしてあるゆえ我らは敵対できぬ……希望であり破滅であり、処分も出来ぬ使徒を神は躍起として取り込もうとしておる』


連れていかれた先。森林地帯の主を名乗る女性は、無数のエルフの前でそう言った。

視線の全てはまるで……ゴミを見るような目で、生きているのが不思議なくらいだった。


『現状、阿呆が性急にことを進めようとしたためそれを察した使徒が世界を救いつつも神には反旗を翻しておる……我らは、そんな使徒を気に入っておる……じゃが、神は使徒を手に入れるべく今度はお主にも手を伸ばしてきよった』


殺せないのが忌々しい。それを隠しもしない視線と空気の中……森林地帯の主はボキりと持っていた扇子を折った。その怒気に立っていられず、膝をつく。


『ああ、忌々しい。『選ばれし者』よ、神がどんなに甘美な囁きをしてもそれを受け入れてはならぬぞ…神は1回でも機会を与えれば、全力でお主や使徒を壊し、自分に都合がいい存在に作り変えよう……ぬしが壊されたら、使徒にも影響がでよう。その危険性、重々承知せよ』


神に、いすずを操るための駒として狙われている。


-君もこちら側にならないか?そうすればいすずと一緒にいれるよ


正直、その文面を見た時…とても心が惹かれた。


触れるだけで、常にすごい勢いで成長をするいすずについていけるのだ。


今は僕の方がまだリードできる場面もあるが……戦闘面などではもう負け出している。

いつか、置いていかれるかもしれない……その焦燥感を見事に見抜かれていたというわけだ。


いすずはそんな存在と渡り合いながら…世界を救おうとしている。そのスケールの大きさ。それに比べて自分の小ささに嫌気がさす。


『神を受け入れぬと言うならば……わちらは全力でぬしらを応援しよう。何、確約を持っての応援とは言わぬ。神を受け入れない、それをしている間は応援をしてやる。まずはさしずめ…とりあえずこれを渡そう。いずれつかうやもしれぬしな。それから『魂の試練』で得た武器もエンチャントするから渡せ』


-終焉のネックレス★★★★★(耐性+120)


デバッファーのヤシロが大喜びしそうな首飾りを放り投げられて……森林地帯の主の配下の女のモンスターが今にも殺さんばかりの視線そのままに武器を渡せと手を出してくる。


「…これは…」


『黙れ!誰が貴様の発言を許した!!御館様の御前で失礼だぞ!』


ひゅんひゅんと足元に幾つもの矢が飛んでくるが……それでもあっさり渡す訳には行かない。


「これは!!いすずと協力して手に入れた装備だ!信用出来ないやつに渡せるか!!」


威圧されてもそれだけは言って、睨みつけると……ふっと主の気迫が緩んだ。それでも十分すぎるくらいの圧力を感じているけど。


『殺せぬのが忌々しいのう。おぬしに選択肢などあると思っているのか?』


「無いね。でも、僕が納得出来ないまま奪い取られたって言ったら…いすずはどう思うかな」


立つことも出来ないのに威勢だけは立派だと自分でも思うよ。

でも、黙って武器を渡しても…いすずは許してくれるだろうけど


それだと僕は、僕を許せない。

もういすずの顔が見れない。


『使徒の好意を盾に脅すとは小癪じゃのう………じゃが、それくらい出来ねば共にある価値もない、か。』


じっと睨み合って

けれど……こいつの提案は僕にとっても……いすずにとっても良いものだ。

僕だけの判断で決めていいものじゃない。もし神と反目するなら、こいつはきっといすずの助けになるだろう。


「…だけど、いすずが良いって言ったら杖は貴女に渡そう。僕自身としては貴女の言い分は僕らの行動指針と一致していると思う。でも、僕だけの判断では決め兼ねる」


『……独断で勝手に決めぬ、わちに屈しぬ…ふん、及第点はくれてやろう。使徒もこちらに来とるようだしの…』


ふん、と言って森林地帯の主は配下をぞろぞろ引き連れて部屋から出ていった。


『……シャリアと呼べ、人は嫌いじゃがヌシにはそれを許そうぞ』


最後にそんな言葉を添えて。


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