4『やっぱり君、本当は獣人か何かじゃないの』
「それで、なんでシャードさんまで連れてきたんですか。私よりも先に、私にも言わずに」
それに深く突っ込まず、根本問題を尋ねるとシャリアは一度固まって…ゆっくりを茶を飲んだ。その視線はこちらに来ない。明らかに目を逸らしている。
「まあ、『選ばれし者』に話もあったんじゃが…急いだのはのう、そのう……トゥルーとスライムめが…」
「トゥルーとスライムが?」
私に向かって好意全開の、2人を思い浮かべて首を傾げる。
「プレゼントを愛用してくれてるとか、ずっと僕のおうちにいるとか散々自慢しおってな……わちもなにかしてやりたい、そう思った時に選ばれし者がわちのエリアで未エンチャントの武器を出すもんじゃからゴニョニョ」
曰く、『選ばれし者』に話はあったそうだ。
だがそれ以上に大っ嫌いな神様に反旗を翻しつつ、世界を守ろうとしてくれる使徒に何かしたい。
だが本業呪術師のシャリアのドロップする装備は私がつけている終焉アクセの…耐性版だ。魔法使いと、ガンナーの私たちでは出番がない……だからせめてエンチャントで助けてやろう!
そう思っている時に、シャードさんが森林地帯で朱金装備を見せた。まだエンチャントはついてない……今だ!ということになったらしい。
「今だ!じゃないんですよ。こちらは命の保証が無い場所にシャードさんを連れてかれて焦ったんですから」
「む?じゃがあのバカが選ばれし者認定をしたことは知っとるのじゃろ?」
「認定したからと言って、どれ程の効果があるのかは知りませんよ。認定前、シャードさんは命の保証がないって言われてましたからね」
「……まあ、そらそうよな。使徒のことは無条件で敬えるらしいが、うちの子らも選ばれし者には複雑な感情を抱いておるものが多かったの……使徒が来る前、はの」
含みのある言い方をされて首を傾げると、シャリアが「来よ」と言って1人の巫女エルフを呼んだ。
巫女エルフはしずしずと私たちの前に来ると、さっと跪く。
「どうじゃった?」
『御館様のご推察の通りでございました。先刻広間にいました同胞らはみな使徒様の深く激しい、レベルも力量差も顧みない激しい愛に感銘を抱き……『選ばれしお方』に御不快な思いをさせてしまったら、使徒様に噛み殺されるのではないかと…『選ばれしお方』はそれほどの方なのだと認識を改めたそうです』
「じゃのう、『私の旦那は何処だ』はとても痺れたぞ。わちが男なら惚れていてもなんら不思議はない」
なんか、私狂犬扱いをされてないだろうか。
まあ私の旦那はここにいるのでふてぶてしく開き直る。そんなことより隣で旦那発言に照れて頬を染めて、照れているのを隠してるのに隠しきれずモジモジしてるシャードさんが可愛すぎるのだが。
シャードさんかわいいなあと和んでいると、私の視線に気づいたシャードさんは慌てて顔をキリッと整えた。
「やっぱり君、本当は獣人か何かじゃないの」
「多分人間です。そういえばシャリア、石が欲しいと白の子に聞いたんですけど普通の石が欲しいんですか?」
石なら一応もってきたけど、見本として石や鉄鉱石、銀鉱石や水晶、アレキサンドライト、上級紫水晶なども一通りテーブルの上に置く。
けれどシャリアはそれらに目もくれず…驚いて私を見ていた。
「シャリア?」
「……いや、良き。うむ、それで良き。石は、鉱石であれば普通の石でも水晶の類でも鉄でもなんでも良いぞ。我らの主武器は弓矢でな、木は放っておけば勝手に増えるが石は増えぬから…こまっておったのじゃ。もうエンチャントの素材で矢じりを作ろうとすら思っておったぞ」
なんだろう。なにか嬉しそうだなと思いつつ、ならばと鉄や銀はある程度確保して、それ以外は思い切って全部シャリアに渡した。必要ならばまた掘り直せばいいだけだ。
シャリアは嬉しそうにしたまま、上級紫水晶に手を伸ばして…何故かこちらの様子をチラチラ伺ってくる。




