3『まず話を聞きなよ』
怪我の方面で痛い話がございますのでご注意ください
「『バインド』!!」
油断していなかったといえば嘘になる。一息ついて、明らかに私の集中力は落ちていた。
けれど……その声はどんな状況でも間違えるわけが無い。
シャードさんの声でそっちを振り向くと………私は彼の放った拘束魔法を食らって、シャリアの前に転がった。
バインドの対象、私なの!?
「君は!!!!何を!!してるのさ!!!!!」
聞きなれた怒声。でもその声はとても切羽詰まっていて……すぐに五体満足なシャードさんが飛んできてくれた。でも、確認せずにはいられない。
「怪我は、無いですか」
「ボロボロなのは君だろう!?シャリア殿うちのバカ娘がすみません!大至急治療をさせてもらっても良いでしょうか!?」
「………あっはっは、良き、良き。夫婦愛をしかと見せてもらった。わちもやりすぎた、許せ。お前らも巻き込んで悪かったの、怪我人の治療と……使徒の治療を大至急しておくれ」
※以下痛い表現注意です。飛ばしても本編には支障が出ないようにしますので苦手な方は読み飛ばすようお願いします。
『はいっ!!』
「ほら、危ないから銃を離しなよ!?」
「……感覚が無くって、腕が動かな…あ、やばい痛いかも。めっちゃ痛いかもしれない…やだ、イタタタ」
『石片を取らなければ治療が出来ません!?』
え。聞こえてきたエルフさんの声に絶望する。
石片って、石片って
砕けた水晶。それは散弾の役割で私の手にはめっちゃ刺さっている。
『急ぎ全部摘出します。ああ、砂鉄も洗い流さないと』
「っぎゃああああああ!いだいよおおおおお!」
「ほんと、このバカ!!!!」
世界の仕様を超えるとろくにならない。私は学びました。
銃弾は銃を撃つために使いましょう。
水晶は加工やエンチャントに使いましょう。
「だいたい君はね、まず話を聞きなよ。初めっから銃を持ってたなんて、対話する気皆無じゃないか」
「ふふふ、怒った子猫のようでほんに愛らしかったぞ」
「甘やかさないでくださいシャリア殿」
「甘やかしを希望します」
「黙りなよ」
オリジナル炸裂爆弾で負った傷は不純物が多すぎてポーションじゃ直せなかった。
不純物の撤去作業に数時間かかり私の身体は回復しても心がボロボロに傷ついていた。なので怒って口が悪いシャードさんに抱きついてメンタル回復中である。
巻き込んだ、シャリアの横らへんにいたエルフさんたちも本当にごめんなさい。笑って許してくれたけど絶対痛かったよね申し訳ない。
「だいたい君ね、シャリア殿が攻撃する気がなかっただけなんだから、勘違いしないでよね。君は弱いんだから、無理してボロボロにならないでよ」
「だってぇー」
「煩い。君が来たって言うから呼ばれていってみれば死にかけてるし、死にかけてるのに僕の心配するしもう本当なんなんだよ」
「愛じゃなあ」
「愛されてるよねえ」
「は ん せ い し ろ!!!!!!」
頭をグリグリされてさすがに黙る。
シャードさんが無事元気な状態で現れて私の怒りは完全に沈静化した。と言ってもシャリアへの警戒心は消せないが。
怒られながらシャリアを見るとにっこりと、楽しそうに笑われた。
「しかしあのような術を用いてわちのバリアを壊すとは思わなんだ。わちの威圧にも屈さない胆力、不利を覆す発想力、あのバカに身を委ねない強い自己、誠に素晴らしい。いすず、そなたはわちの想像以上じゃ」
その眼は見定めるものの眼で……合格点を貰えたことが喜ばしいのか否か、少し判断に困る。
不合格でも別に殺されはしなかっただろうが…合格したからと言って、それがいいこととは限らない。




