1『私の連れが先に来ていると伺っているが』
不死地帯から森林地帯へと石碑で飛びながら通信機器を確認すると、メッセージが一件送られてきていた。
残念ながらそれはシャードさんではなかったが
to いすず
title秘密の花園お兄さんです
本文
なあ、シャード呼んだか?話の途中で急にいなくなって連絡もつかないんだが、用が済んだら連絡するように伝えてくれ。
悪い意味でシャードさんの行方を示唆するものだった。
ギリっと歯を食いしばって、全力で森林地帯の奥へと向かう。
蝶も、蟻も、カマキリも
蛾も、バッタも、トンボも
ペース配分なんて知らない。文字通り全力で駆け抜ける。
私は、神様に呼ばれた使徒だから
本来凶悪なボスエリアのモンスターたちも好意的に接してくれるが。
シャードさんは分からない。神が何か言ったようだが……初めて不死エリアに行った時ハコさんは言ったんだ。シャードさんを連れていきたがった私に
『使徒様以外の方の命の保証は出来ません』と。
シャードさんの命は保証されているものか否か、分からない。
これがエルダーであればまだ、殺されていないと思えるが……相手は見知らぬエリアボス。
ピッ
ザクッ
「……はあ、はあ…」
シャードさんの安否は分からない。
突っ切る道中の敵は最低限たおして駆け抜けてきたけど…突っ切ることを優先しているためか、草やモンスターにやられた切り傷が増えてきた。
だが、まだ余裕で走れる。
走りながら前方にHPポーションをぶちまけて
そこに突っ込む形で傷を癒す。
『使徒様お止まり下さい!』
『これ以上はお一人では危険です!吾等お連れしますゆえ』
『使徒様の前方の敵を蹴散らせ!』
格上のエリアをしばらく爆走していると不意に前方の敵が無数の矢に射られて……真っ黒に染まりぐにゃりと溶けて消えた。
そして、木の上に…隠されることないため感じる強い気配と……人型のモンスター。
耳長種だ。
どうやらやっとお迎えが来たようだ。
『御足労感謝いたします。出迎えが遅くなり大変申し訳ありません』
「………」
エルフたちは統一感のある見覚えのあるローブや系甲冑を着ており…それは間違いなくシャリアの配下の服装だ。
ついその姿を見て、シャードさんを連れていったのはお前たちか!と罵りたくなったが……ぐっと、ぐっと、必死に堪える。
「私の連れが先に来ていると伺っているが」
『左様にございます。選ばれし方は吾共のエリアで吾たちの王自ら丁重におもてなしをさせていただいております』
「最速で連れて行って貰いたいのですが」
『……籠もご用意しておりますが…左様でございますか。でしたら御身に触れさせていただいてもよろしいでしょう』
「構いません」
私の前に系甲冑のエルフが降り立ち
彼は跪いて挨拶を述べてから、すっと私を子供のように抱き上げた。
シャードさんよりさらに細身なのに……その安定感は比べ物にならない。抱かれるのはもちろんシャードさんがいいけれども。
『しっかりおつかまりください。道を切り開け!』
『はっ!!』
人を抱えているとは思えない、私の移動よりも早く…木の上を飛び回る動き。現れるモンスターは全て矢で射られ……真っ黒になってぐにゃりと溶けていく。
弓術と呪術…バフやデバフの最高峰の遠距離集団。
人数不利があった場合すぐに呪われて戦闘困難な状態にされるため…わるスタでは効率無視し絶対に一体づつ狩れと言われたモンスターだ。
そんなモンスターの住処に
そんなエルフが大量にいるエリアに
ーーーー私は単身乗り込んだ。




