6『早く掘りなよ』
私としては……シャードさんのエンチャント素材を鉄や銀で誤魔化しながらこっそり探せるのでとてもハッピーだ。
延々と地面を撃ち続け、時折3人に鉱石を渡して
3人が狩りや鍛冶を行うのを見ながら撃って撃って…
ソレは唐突だった。
「『瞬歩』『シールドバッシュ』」
-銀鉱石
-銀鉱石
-アレキサンドライト
-アレキサンドライト
-アレキサンドライト
「『ウインドスピア』」
「『ライトアロー』」
3人が戦闘でこちらに背を向けている間にインベントリに入ってきた『アレキサンドライト』。
……それは絶対にここで手に入るわけがない森林地帯のボス、ハイエルフシャリアを呼び出すためのキーアイテムだった。
………またか。
前にもあった、この流れ。
絶対に出ないはずのキーアイテムが出る。
これはきっと神の誘導だ。クエストを達成すると洗脳される恐れがあるので絶対に石碑サブクエストをやって仔細を確認するつもりはないが……間違えないだろう。
手は止めず、少し深く考え込む。
シャリアについては、魂の試練の白スライムから少し情報を得ている。
『えるふのおばーちゃんも………ん、んー?さしいれはいしをいっぱいちょうだいだってー』
石って石なのか。
鉄鉱石なのか銀鉱石なのか。
………おそらくこのアレキサンドライトは確定だろう。だってこれは…黄金の林檎と同じく、最高クラスの錬金術でしか手に入らないのだから。
石を採取したから、シャリアの元へ行くようキーアイテムが出たのか
それともシャリアのとこも緊急性があって出たのかは分からないが……なるべく早く行く必要がありそうだ。
また、お迎えにこられたら……色々と困る。
……白スライムには…逢いにくいから、ポーションは無いけどエルダーさんに繋ぎを取ってもらおう。その際はポーションの代わりのなにか甘いものでもーーーーと、そこまで考えた時だった。
私の視界にひらっと見覚えのある手のひらが現れた。
シャードさん?
どうしたのかと、彼を見れば
シャードさんは真面目な顔で私の耳に唇を寄せてきた。
内緒バナシでもするのかなと思っていると視界に緊張したリリさんとドーンさんが写り……唇は耳よりも下、私の首に到着して……がぶっと噛み付かれた。
(「いたぁ!??!」)
「!?」
「!?」
「………」
「………」
「………」
「ギャアウー」
「『ウインドスピア』しっかりしてよねドーン。沸いてるよ」
?!?!?!
「……はっ、し、『シールドバッシュ!』」
「『ら、らいとあろー!』」
痛い。とてもヒリヒリする。
首を撫でるとピリッとする。
……??????
い、いやいやいや!
慌てて消音の魔道具を切って、戦闘が終わってしれっとした顔をしているシャードさんに詰め寄る。
「いや、なんで噛まれたの今!私!」
「……いすず。」
「説明を!説明を求めます!!」
「……黙って掘ってな。以上」
そういうとシャードさんはこちらを向かないように銀晶弾の制作に戻った。
………。
「はあっ!?」
「ま、まあまあ嫁ちゃん」
「落ち着いていすずちゃん。シャードに悪気は多分無いのよ」
リリさんとドーンさんはなだめてくれるが…当の本人は黙々と鍛冶をしている。私に背中を向けて。その態度にもイラッとするのに
「早く掘りなよ」
なんて言うもんだから……怒りは最高潮に達した。
距離は約7歩。私なら一瞬で移動できる距離だ。
シュッとシャードさんに飛びつくように移動してローブのフードをひっぺがして……首の後ろにガブッと噛みつき返した。
「いた!?な、なんなの!?」
「知りません!」
慌てて振り向いてももう遅い。既に私はシャードさんに取り憑いた!!
痛がって引き離そうとされてもしがみついて再度噛み付く。
「い、痛いから!」
痛がりながらもちょっと頬を染めながら引き離そうとしてるが…しがみつく。噛み付く。
「これ、私たち何を見させられてるの…?」
「……竜人の求愛に確か噛み付くってあったが、これがそうなのか…?」
何も知らない!!とにかくムカッとしたから噛み付く!




