第六十四章 それぞれの故郷見物①
「えー、大変長らくお待たせしました。計算に手間取って...」
とマモンが汗を拭きながら言う。
「もっと賄賂とかで突破とかしないのか?」
「あそこは誠実さが売りのサタンの系列の悪魔が担当していますので賄賂とかきかないんですよ。」
としょげるマモンと少し誇らしげなサタン。
「そしてここが、私が治めている都市です!」
その都市は絢爛さと華やかさを見せつつも混沌と虚偽に満ちているようなところだった。
「油断したら身ぐるみはがされそう。」
「叫び声でにぎやかですね。」
と批評の嵐。
「うう、否定できない...まあ見た目よりかはスリリングで楽しいですよ。」
この見た目よりスリリングなのかよ!?もうすでにスジモンが跋扈してるけど。げぇっ!スジモンの中でもエラそうな奴が走ってきた!死ぬっ!
「頭ではありませんか!もうかってまんか?」
「ぼちぼちでんな。」
「ボスなんかい!」
思わず突っ込んでしまった。まあ当然か、治めてるんだし。そしてこれがここでのあいさつなのね。
「帰ってきたのですね!人間どもはカモにできましたか?そいつらは人質で?今回はどんな拷問をいたしましょうか?」
「そういうことは言わんとってくださらん!?客人なんですよ!ああっ!距離あけないでください皆さん!」
こわ...近寄らんとこ。なんか口調もちょっと変わったし。
「この方々は観光に来てくれただけなんですよ!私と同列の悪魔たちと一緒に!」
「し、失礼しました!じゃあ今回の拷問は抑えめに...」
「今日はするなって言うとるねん!」
なんかポンコツだなこの部下。
「けほん、改めてここの観光名所を...もうちょっと近づいてくださりません?聞こえないでしょうに。」
「死ぬよかましだー!」
「殺しませんてばぁー!」
そんなやり取りが3分ほど続いた。
「まずここが一番栄えてる賭博街です。大体の博打と事務所はここにそろっていて、この都市の中核です。」
「興味ねぇしここから早く出たいし怖いしタノは順応してるし。」
「にぎやかすぎて頭が痛くなるんだよ...」
「もうかってまんか?」
「ぼちぼちでんな。人間のお兄ちゃん。ちょっと賭けてかん?」
出るぞ、すみやかに。
「まあ知識のない人がここにいると危ないですね。」
撤収!
~移動中~
「ここが強欲通り。飲食店がたくさんあります。有名なのはあそこのグラトニーベーカリーですね。グリードパンが有名です。」
何言ってるかよくわからん。
「それは何が入ってるんだい?」
「えっとね~、何もなかったりビーフシチューとかドーパミンとかアドレナリンとか運が良ければ鍵が入ってるときもあるよ。食べちゃったけど。」
ん??食べられないもんが多くなかった?
「鍵って何を開けるものなんですか?」
「そこの金庫ですよ。」
と言ってマモンは店の奥にある金庫を指さした。数億は入ってそう。
「まぁ運が良ければおいしいんで金庫の鍵とかどうでもいいんですけどね。」
「透視すると面白みに欠けるな。」
コンセプトを真っ向から否定しないでくださいロードさん。そう思いながらグリードパンを全員一個づつ(アンナとベルゼブブは5個ほど買って)ここを出た。(ちなみに人間組はそれぞれ悪魔たちに買ってもらった。ベルゼブブって割と金持ちなのね。)




