見つかった謎の書類! これって離婚の紙!?
「ふきふき、ふきふき……あーあ、お掃除って本当に大変」
その頃、お家ではリリィ(姿はママ・エレナ)が、ピンク色の魔法の泡だらけになったリビングを一生懸命に雑巾で拭いていました。
大人の体になっても、お掃除のやり方はよくわからないので、時間はかかりましたが、なんとかお部屋はピカピカになりました。
「ふぅ、終わった! ……あれ?」
ソファーの横を拭いていた時、パパがいつも仕事に持っていく革のカバンから、パラリと一枚の紙が落ちているのを見つけました。
「なんだろう、これ?」
拾い上げてみると、それは分厚くて立派な紙でした。
そこには、まだ学校で習っていないような『大人が使う複雑な文字』がびっしりと書かれています。
そして、一番下にはパパのサインと、真っ赤な『立派なスタンプ』がポンッと押してありました。
「なんだか、すっごく大事な紙みたい……」
リリィは首をかしげました。でも、その『難しい紙』と『赤いスタンプ』を見た瞬間、リリィの頭の中に、ご近所のおばさんたちの立ち話がフラッシュバックしました。
『いやねえ、あそこのお宅、毎日夫婦喧嘩ばっかりでしょ?』
『そうそう。あんなに冷え切ってちゃ、そのうち【離婚の書類】にスタンプを押して、お別れよ!』
「り、りこんの書類……お別れ……」
リリィの顔から、さーっと血の気が引きました。
パパとママは、最近ずっとお話ししていませんでした。朝ご飯の時も氷河期みたいに冷たかったし、ママはため息ばかりついていました。
そして、パパのカバンから出てきた、赤いスタンプが押された謎の紙。
「うそ……やだ。パパとママ、お別れしちゃうの!?」
リリィは、大人の大きな手で、その紙をくしゃくしゃにならないようにギュッと抱きしめました。
「そんなのやだ! パパとママがいっしょにいないなんて、絶対にやだぁ!」
ポロポロと大粒の涙がこぼれ落ちました。
お料理を失敗したときも、泡だらけになって転んだときも泣いたけれど、今度の涙はもっともっと悲しくて、胸がちぎれそうになる涙でした。
大人のエレナの姿をしたリリィは、床にペタンと座り込み、子供のように声を上げてわあわあと泣き崩れました。
「え~ん! 離婚しないで! みんなでずっと、いっしょにいたいよぉ……!!」
誰もいないピカピカのリビングに、大きなお母さんの、小さな子供のような泣き声が響き渡りました。




