↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
4/10

おっきな娘の、ドタバタお家しごと!

その頃、お家でお留守番をしている大きなお母さん――中身は8歳のリリィは、腕まくりをして鼻息を荒くしていました。


「ふふん! 今日から私がママなんだから、お家のお仕事なんてパパッと終わらせちゃうんだから!」


リリィは大人の体がすっかり気に入っていました。棚の高いところにあるお菓子にも手が届くし、重たいものもひょいっと持てます。


(ママっていいなあ。何でもできて、自由で!)


まずは、パパとママが帰ってきたときのために、美味しいオムライスを作ることにしました。


「卵を割って、フライパンでジュ~ッて焼くんでしょ。かんたん、かんたん!」


しかし、大人の体でも、中身は8歳の女の子です。


コンロの火加減がわからず、火はボウボウ。


大きなフライパンをうまくひっくり返すことができず、卵はぐちゃぐちゃに。


あっという間に、キッチンからモクモクと黒い煙が上がりました。


「けほっ、けほっ! うわああ、真っ黒こげになっちゃった!」


お皿に乗ったのは、オムライスではなく、黒い石のようになってしまった何かでした。


「お、お料理は失敗しちゃったけど……そうだ! ママのお仕事の『魔法薬の調合』を手伝ってあげよう!」


リリィは気を取り直して、リビングの隅にあるママの作業机に向かいました。


ママはいつも、ここで色々な色の液体を混ぜて、風邪薬や、お掃除に使う魔法の石鹸を作って、お店に納品しています。


「ええと、この青いお水と、赤いお水を混ぜて……」


トクトク、とビーカーに液体を注ぐリリィ。


しかし、分量を量らずに適当に混ぜてしまったのが大間違いでした。


シュワシュワシュワッ!


「えっ?」


ボフンッ!!!


ビンの中から、ものすごい勢いでピンク色の泡が吹き出しました。


泡はモコモコと膨らみ続け、机からこぼれ落ち、あっという間にリビングの床を埋め尽くしていきます。


「わわわっ! ストップ、ストップー!」


リリィが慌てて止めようとしますが、泡で足が滑ってしまい、スッテンコロリン! と派手にしりもちをついてしまいました。


「いたたた……」


顔中を泡だらけにしながら起き上がったリリィは、黒焦げのフライパンがあるキッチンと、ピンクの泡だらけになってしまったリビングを見渡しました。


大人の体になれば、何でもできると思っていました。


でも、全然違いました。


「ママは、毎日これを一人でやってたんだ……」


朝早く起きて、ご飯を作って。


お掃除をして、お洗濯をして、さらに難しい魔法薬を作って。


それは、「かんたん」なんかじゃありませんでした。


魔法のキャンディなんかなくても、ママは毎日「お家を守る魔法使い」みたいに、ものすごいことをやっていたのです。


「私……ママのこと、全然わかってなかった」


パパが冷たくて、ママがいつもイライラしていると思っていたけれど、ママは疲れ切っていただけだったのです。


「ママ……ごめんなさい。ママ、いつもありがとう……」


誰もいない泡だらけのリビングの真ん中で、リリィはぽろぽろと大粒の涙をこぼして、子供のように大きな声で泣いてしまいました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。