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俺だけ生配信中なんだが? 〜生配信中に異世界転移してしまった結果、配信切れなくなった件〜  作者: 【星願大聖】永福
第三回・レアー様の信仰心を回復させ隊!

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『キャラメイキングで本気出し始める系のゲーマーか』

 ◁

 レアメス二世にここまでの経緯を話した。 決めポーズをコロコロ変えながらもうんうん頷くナルシストを相手に、本当に聞いてるのかこのやろーと思いながらも簡潔にまとめた事情を説明する。

 

 まず、シリスの復活を遅らせている理由、セフメトの脅威や復活の原因を説明。 王国軍に追われて困っていること、セテフ様やアセト様に捕捉されて手に負えないこと。

 

 他にも自分たちの仲間の紹介や、今後の目標。 差し当たってはレアー様の信仰復活を目論んでいることを説明する。

 

「ふむ、ならば我と目的は一致するな」

 

「え? ちゃんと話聞いてました?」

 

「我を誰だと思っておる小僧。 レアー様の信仰を広めようと言うのなら、我と目的は同じだと言っておるのだ」

 

「なぜにホワイ?」

 

 レアメス二世の言葉をそのまま解釈すると、こいつはレアー様を信仰しており、俺達と同じく信仰心を広めるのが目的だと言っているように聞こえる。 そんな偶然ってあるのだろうか?

 

「黒湖さん、レアメス二世を勧誘する目的は王国軍に対して有効な能力を持っているからと言うのもあったのですが、この方がレアー様を信仰していると言うのがかなり大きいんです」

 

 先ほどまで念仏を唱えていたメメジェットさんが正気に戻ったらしい。 いったいなんであんなに取り乱していたかは知らないが、この人が直接話をつけた方が早そうだから助かる。

 

「言ってしまえば王国軍に有効な能力だけで選ぶならフィロパトルの方が有効ですしね。 あえてこの方を選んだのはレアー様を信仰しているからなのです」

 

「何やら貴様らに選り好みされているような言い分は気に食わんが、まあいい。 目的は同じなのだから手を組むことに対して特に文句はない」

 

 腕を組んで威厳のあるポーズをしながらうんうん頷くレアメス二世。 そしてウィンドウにペンを走らせるママをチラリと伺いながら、言葉を続けた。

 

「我の目的はただ一つ。 レアー様の信仰を世に広め、九柱神……エニアードの一柱に加わっていただくことだ」

 

 指揮官のように右腕を振りながら力強い声を発するレアメス二世。

 

「ちょっと、動くんじゃないわさ」

 

「すまんつい」

 

 そしてママのせいでカッコよさは台無しになった。

 

「して、我は先程からこの女子おなごに姿を移してもらっておるが、これになんの意味があるのだ?」

 

「意味もわかってねークセにノリノリで決めポーズかましてたのかよナルシスト」

 

「生意気な小僧だなこやつは。 実に愉快!」

 

 俺の小言に対し、なぜか嬉しそうに応えるレアメス二世。 なんだか大人の威厳というものを見せられている気がして腹立たしい。

 

「そのことなのですが……ありたむさん、模写したイラストは召喚できそうですか?」

 

「一枚目のイラストで良ければ召喚できるわさ」

 

 ウィンドウから目をそらさずに返答するママに対し、満足気に頷いて返すメメジェットさん。

 

「でしたらお願いします」

 

「抑止の輪より来たれ、天秤の護り手よ」

 

「そういう演出いらんから」

 

 『素に銀と鉄から唱え直そう』

 『みったせーみったせーみったしてみったせー』

 『あんた超COOLだよ』

 

 ママが複数開いていたウィンドウの内のひとつを適当にスワイプすると、空気中をスライドしていったウィンドウが光の粒子になって霧散する。 霧散した光の粒子はそのまま消えることなく、レアメス二世の目の前に収縮して人の姿を取り始めた。

 

 目の前に立っていたレアメス二世は少年のように瞳をキラキラと輝かせながら光の集合体を凝視していると、光が消えていくにつれてその姿が顕になっていく。

 

「これが、これが我の移しなのか! 貴様の能力は移しを実体化する能力であったか!」

 

 人形のように棒立ちしている召喚体をあらゆる角度から眺め、感嘆の息をこぼすレアメス二世。

 

「このようにありたむさんはイラストに描いた生命を産出できるのです。 これにあなたが憑依すれば、地上に出られるのではないでしょうか?」

 

「そうであるな、確かにこれは我が全盛期だった頃の姿を移したものに非常に似通っている」

 

 あごをさすりながら自分と瓜二つの召喚体周辺をぐるぐると回り始めるレアメス二世。 彼の話によれば、冥界の魂は本来人間の形を留めることはできない。

 

 基本的に冥界に彷徨う魂は墓地やダンジョンに放置された死体に憑依して、アンデットモンスターとして地上に排出されてしまうのだとか。

 

 しかし極稀に、極めて強い意志や志を持ったまま冥界に落ちてしまった魂は、人の姿を留めるだけでなく意思疎通もできるようになるらしい。 こういった魂が長い年月を掛けて精神を摩耗させ、モンスターになってしまうと上級アンデットモンスターやボス級アンデットモンスターになってしまうのだとか。

 

 レアメス二世はその極稀なパターンの中でも極めて珍しいケースで、冥界の中をかれこれ数百年も彷徨っていたらしい。

 

 レアメス二世がこの若い姿をしているのは、魂の形が彼の意思に作用して変形したから。 つまり、彼はこの年齢の時に強い野望があったという解釈が可能なわけだ。

 

「貴様の移しは完璧だ女子よ、この精度なら我はこの召喚体に憑依することも可能であろう」

 

「だったら早く人魂モードになるんだわさ」

 

「まあ落ち着くのだ。 この移しには一つ問題がある」

 

 『レアメス二世、人魂モード』

 『憑依合体来たw』

 『いやこれはどちらかと言うと義骸だろ』

 

 先程までヘラヘラしていたレアメス二世が突然真剣な表情を向けてくる。 おそらくこの召喚体にはなんらかの問題があり、それを解消するために何らかの無茶振りが待ち受けているのだろう。

 

 こちとらそう簡単にレアメス二世を連れ帰ることができるだなんて、はなっから思っていなかったのだ。

 

 無言でにらみ合う俺達とレアメス二世。 緊張の糸がピアノ線のように張ったこの空気の中、レアメス二世は召喚体の隣に移動してからママへと視線を向ける。

 

「我は確かにこの頃が一番美麗かつ威厳に満ち溢れ、非常にイケていたのは見れば分かるであろうが、どうしてもここの顎のラインがコンプレックスだったのだ。 ここをすーっとしなやかかつ美しく作り直すことはできぬのか?」

 

 予想の斜め上を行く顛末に……いや。 この顛末を予想できなかった自分に対してなんだか無性に腹が立ってきた。

 

「こんな感じなのさ?」

 

「素晴らしい、素晴らしいぞ官能的な女子よ。 こちらを召喚してくれ!」

 

「あの、今はそんな下らないことに時間を使っている余裕は……」

 

「下らないとは何だシーツの美女よ! せっかく理想の自分の姿を作り変えることができるというのなら、細部をこだわらずして何にこだわるというのだ!」

 

 『キャラメイキングで本気出し始める系のゲーマーか』

 『いるよねそういう人』

 『こういう民族はキャラメイキングに平気で数時間割くから気をつけろ』

 

 嫌な予感を感じながらもメメジェットさんを横目に見る。 早くなんとかしてくれとアイコンタクトしてみたのだが、俺の意図は遺憾なく伝わったようで。

 

「ともかく、キャラメイキングは後にしていただいて、質問に答えていただきます。 レアメス二世さんはこの冥界から外に出られるということでいいのでしょうか?」

 

「うむ、この完成度ならば文句はない、むしろ望むところである」

 

「では、帰還する目処が立ったところで少し休憩を挟みましょう。 貴方がたは今のうちにキャラメイキングを済ませてくださいね」

 

 メメジェットさんは半ば投げやりに話をまとめ、脱力したように座り込んでしまった。 どうやら岩山の近くにいると天変地異は起こりづらくなるらしい。 というか、ここら一帯は天変地異が発生しないようだ。

 

 理由は分からないがゲーム上の設定なのだろうか?

 

 細かいことは後で考えるとして、これなら心置きなく休める。 俺達はようやくこの冥界から帰ることが……

 

 およ? ……帰る?

 

「ちょっとメメジェットさん、ちなみにここから帰る時ってさ、アイテムかなんかで一瞬で帰還とかできる感じ?」

 

「は? できるわけ無いでしょう? 地道に歩いて帰るんですよ地道に」

 

 ここにきて、絶望的な事実を知ってしまう。

 

「って事は阿鼻冥界も、もう一回攻略するの?」

 

「一度攻略してますし、今回はレアメス二世さんもいますから」

 

「ボクもいますぞナイルボーイ! 冥界探索は今回合わせて二回経験してますからね、大船に乗ったつもりで任せて下さい!」

 

「泥舟の間違いだろ? つーかお前うるせーからママのイラスト見ながら黙ってろよ」

 

「邪魔者扱いしていただき、ルタカとっても嬉しい♡」

 

「キモい」

 

 何故か嬉しそうな顔で自分の体を抱きしめるルタカ。 しかしレアメス二世はママが描いているイラストに目を通しながら、何食わぬ顔で口を開いた。

 

「外に出たいのならば、我が先日発見した通路が使えるのではないか?」

 

 耳寄りな情報を聞き、俺は目を輝かせながらレアメス二世に視線を送る。 ほとんど同時にメメジェットさんも同じような行動を取っていた。

 

「そんな隠し通路があったのですか!」

 

「あったと言うか、できたと言ったほうが正しいな。 しかも、できたのはつい最近だ」

 

 ……ん? と思ったのだが、微妙な目つきで俺を盗み見ているメメジェットさんが横目に見えた。 おそらくこの人も違和感に気がついている。

 

「もしかしてその通路、東の方にあったりします?」

 

「おおシーツの美女よ、貴様もしや、通路の存在を知っておったな?」

 

 『あのさ、俺は気がついたんだが……』

 『みなまで言うな、おそらくメメジェットもナイルくんも気がついてる』

 『これはもしかしなくてもあれか?』

 

「あれですか」

 

「あれですね」

 

「どうしたのだ貴様ら、さっきから様子がおかしいではないか?」

 

 レアメス二世が不思議そうな視線を向けてくる中、俺とメメジェットさんは苦笑いで向き合いながら、不自然な笑い声を上げた。

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