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俺だけ生配信中なんだが? 〜生配信中に異世界転移してしまった結果、配信切れなくなった件〜  作者: 【星願大聖】永福
第二回・レベリングツアースタート!

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『このゲームのモンスター、ネーミング安直だからなw』

 ◁

 ルタカはプレーマナーの悪い害悪プレーヤーだが、プレイ人口が大幅に減ったヘリポリを最後までプレーしていた数少ないプレーヤーであり、他のプレーヤーとの情報差をなくすため日々情報収集に奔走していた。

 

 故に、新たに発見されたと言うダンジョン内の隠し通路に気がついていないわけもなく、コアなプレーヤーならその隠し通路を使ってダンジョン内に侵入してくると言う予想も可能。

 

「ここで待ち伏せしていればホープの野郎が来ると思っていたのでしたが、来たのはあの時一緒にいた取り巻きですか。 期待はずれですね」

 

「随分とホープさんに心酔しているのですね?」

 

「取り巻きさんのような無名プレーヤーにはわからない、深い深い因縁があるんでね」

 

 歪な笑みを浮かべながら、余裕綽々とした佇まいで肩をすくめるルタカ。

 

 すると、自分の手元に半透明のキーボードを出現させ、目にも止まらない速さでタッピングし始めた。 それを見た瞬間、メメジェットさんは杖を天高く掲げる。

 

「神聖領域! 黒湖さん、前衛に上がって下さい!」

 

 メメジェットさん達とチームを組んで何度も戦ってきたが、彼女自らが指示を出すのは初めて。 何でか知らないがすぐさま神聖領域を展開し、的確な指示を出してくる。

 

 突然の出来事で呆気にとられ、目を見開いてしまった俺に、メメジェットさんは叱咤の視線を向けてきた。

 

「何を呆けているのですか愚か者! 相手は魔物を大量に召喚する固有スキルを持っているのです。 油断すれば即やられますよ!」

 

「【生命の産出者】って、描いたものを召喚する能力じゃないの?」

 

 元々はママが持っていた固有スキル、生命の産出者。 ママが描いた物を召喚するという少々尖った性質を持ったスキルのため、どう使われると強いのか、どういった流れで使用するのかは未だに分かっていなかった。

 

「生命の産出者は描いたものを具現化する能力。 なにも、イラストだけが具現化する方法ではありません!」

 

「そういう大事なことは、もっと早く教えてくれないかな?」

 

 慌てて前衛に上がりながらも苦言を吐く。

 

「生命の産出者で生き物を産み出す方法は、あの半透明なウィンドウに召喚したい個体を象徴する、正確な情報を描き込むこと。 ありたむさんの場合はそれがイラストだったってだけの話しです」

 

 つまり、ルタカが手元に出した半透明のキーボードが、召喚したいモンスターの情報を書き込むためのツール。

 

 しかし、ルタカはイラストを描いているような素振りは一切なかった。 指の動きが高速すぎて目で追えなかったが、あれは何らかの文字を打ち込んでいるような挙動で間違いない。

 

 イラスト以外で、召喚したいモンスターを象徴する正確な情報など、何を書き込んでいるのだろうか? 考えられるのはモンスターの設定、単純に名前だけ入力すれば召喚できるのか?

 

 しかし、それだとなにか引っかかる。 メメジェット氏は召喚したい物を象徴する、正確な情報とあえて口にしていた。 それはつまり、曖昧な情報では召喚したいモンスターをピンポイントで召喚するのは難しいと言外に行っているようなものだ。

 

「やつはプログラマーです。 そのモンスターを象徴するプログラムを打ち込めば、それは実質モンスターを形作っていることと同義。 イラストで書いてしまうと細部に乱れがあり、完全に同一の存在を召喚できませんが、プログラムならレベル上限以外の性能は殆ど同じの個体を召喚できるんです!」

 

「なんだよそれ、もしかしてママよりそのスキル使いこなしてるんじゃね?」

 

「まあ、そのセリフを聞くのは二度目ですが、お願いですのでありたむさんの前でそのセリフは二度と言わないようにお願いします」

 

 何があったのかは予想できるので聞かないでおこう。 そんな事に思考を割いている余裕はない。

 

 購入したばかりの鋼の戦棒を構え、棒立ちしていたルタカに突進しようとしたのだが、突如として地面に禍々しい色の泥が広がるのが横目に見えた。 反射的に触れないように回避行動をしてしまう。

 

「ちっ、黒湖さんがもたついたせいでモンスターを召喚されました」

 

「無茶言ってくれるじゃないっすか? もっと早く説明してくれてたら動揺なんてしなかったんですけど?」

 

 ルタカの足元に広がっていた禍々しい泥は徐々に姿を変えていき、それぞれが別の形を形成していった。

 

「まったく、この僕を相手にして随分と余裕な態度をしていられますね? ホープの野郎をぶっ倒す前の前哨戦に使ってもらえることをもっと光栄に思った方がいいですよ?」

 

「ふふ、前哨戦の割には随分と召喚したモンスターが少ないですね? 以前は大軍規模で召喚していたでしょう?」

 

 メメジェットさんはなおも余裕な声音を響かせていたのだが、ルタカは怒るでもなく、クツクツと肩を震わせながら大仰に両手を開いた。

 

「いやねえ、雑魚を大量に召喚しても逃げられるだけでしたので、量より質を追求したほうがいいかと思いまして」

 

「メメジェットよ! ドラゴンゾンビにデスサイズ。 それにエルダーヴァンパイアを召喚されたようだ!」

 

「そのラインナップ、明らかにウィザード対策ですね。 強力なアンデットモンスターを代表するデュラハンが異常に多かった故、予想はしていましたがね!」

 

 ルタカを守るように三体の魔物が召喚された。

 

 全身の皮膚がただれ、ところどころ肉が腐って剥がれ落ち、骨が露出してしまっている巨大なドラゴン。

 

 命を刈り取るような巨大な鎌を持ち、真っ黒で傷んだローブを纏った骸骨。

 

 襟がピンと立った黒外套をなびかせ、血色が失せたような真っ白な肌と、口元から鋭い尖頭歯を光らせる紳士。

 

 『吸血鬼と死神の組み合わせは、あからさまにホープさんへの嫌がらせだな』

 『全部恐竜種並みの危険度じゃんw 屍龍は広範囲攻撃要因?』

 『昔からルタカはホープと戦うこと以外考えてないからなw』

 

「なんて愚鈍な選択肢なのでしょうか」

 

「なんだと?」

 

 鼻で笑うようなメメジェット氏の声に、初めていらだちを見せるルタカ。 まあ、メメジェット氏が平然としている理由は俺でも分かる。

 

「ラーザさん、あのゾンビっぽいドラゴンは見た目的にグロいので、視聴者のためにも瞬殺します」

 

「あいわかった! ちなみに、あのドラゴンの個体名はドラゴンゾンビだ」

 

「名前そのまんますぎて草」

 

 『このゲームのモンスター、ネーミング安直だからなw』

 『わかりやすくていいだろw』

 『ナイル氏、もっと真面目にツッコめよw』

 

 召喚された三体は明らかにアンデット。 デュラハンが異常に多かったのは、この三体を召喚するための実験か?

 

 神聖領域がすでに展開されているのなら、ここで使用するべきは聖属性を帯びた闘技スキルより、威力を重視した闘技スキルだろう。

 

 おそらくメメジェットさんは相当に頭が切れるため、始めからこの展開を予測していた。 なんせ、戦闘が始まるのとほぼ同時に神聖領域を使用していたのだから。

 

「金剛割砕打!」

 

 モンクが覚える闘技スキルの中で、最もコスパが良い上に威力の高い便利な技。 奥義の【阿修羅滅砕】と迷ったが、この場は一応室内なので加減はしたいと思ってこちらを選択。

 

 嬉しい誤算だったのだが、ドラゴンゾンビは闘技スキル一発で消し飛んでくれた。

 

「バカな! 一撃だと?」

 

 唖然としたルタカの声が響く。

 

「さすが黒湖ナイルだ、いくら一律レベル五十とはいえ、脅威度はかなり高いドラゴンゾンビを、たった一撃で沈めてしまうとはな」

 

「神聖領域内なのを加味し、威力の高い闘技スキルを使ったのですね。 本当に融通がきく素晴らしい気遣いです」

 

 称賛の拍手を受け、鼻を鳴らしながら振り抜いた鋼の戦棒を担ぎ、胸を張りながらルタカを指さしてやった。

 

「お前、あったまわりーな! 初心者の俺ですらそのラインナップを召喚したのは愚策だって分かるぜ?」

 

「初心者だと? この僕に、初心者ごときが歯向かうか?」

 

「おいおい笑わせんなよ。 その初心者ですら分かる失態を晒してるのは、他でもないお前なんだぜ?」

 

 装備や使用したスキルを見れば、猿でも分かるはずだ。

 

 メメジェットさんは神聖領域を使ったからプリースト。 俺は棒を装備しているからモンク。

 

 どちらも聖属性を帯びた攻撃を得意とする職業であり、アンデットモンスター討伐のエキスパートと呼んでもいい。

 

「俺達がホープさんの前哨戦だと? 笑わせんなよド素人が! お前みたいなへっぽこじゃ、ホープさんどころか俺達の相手にもならねんだよ」

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